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高齢者を支える最後の砦、訪問介護の“限界地域”。報酬減、人手不足…高知県の先進事例

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利用者の食事を作り健康チェックをする堀田さん
訪問介護事業所を運営する堀田さん。利用者の食事を作り健康チェックや服薬介助を行う(写真:筆者撮影)

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高齢化社会の日本で介護のニーズは高まるばかりだが、人手や財源は不足している。本特集では住む場所や経済力、どんな施設を選ぶかによって生まれる「介護格差」に迫る。

「どうにかならないんでしょうかね、訪問介護」

利用者宅へと向かう山道の途中、「あかりケアサービス」の堀田了誓(りょうせい)さん(46)は、軽トラックのハンドルを握りながらそう漏らす。房総半島の南部、千葉県鋸南町(きょなんまち)で訪問介護事業所の代表を務めながら、ヘルパーとしても一日中、町内を駆け回る。

地域の人を支え、共に生きるこの仕事に、大きな誇りを持っている。しかし昨年度の介護報酬改定で訪問介護の単価が下げられ、「この業界の努力を否定されたような気持ちになった」。

訪問介護が狙い撃ちに

3年に1度見直される介護報酬。昨年度は訪問介護が狙い撃ちに遭い、基本報酬がマイナス改定となった。その影響は大きく、昨年の訪問介護事業者の倒産は過去最多の81件となり、介護事業所全体の倒産件数のおよそ半数を占めた。

厚生労働省は、引き下げの根拠に訪問介護の収支差率(利益率)の高さを挙げた。

だが、都市部にあってサービス付き高齢者向け住宅などを効率よく回れる事業所と、山間部や過疎地などで広範囲な地域をカバーする事業所とでは事情が異なる。地方の事業所にとってガソリン代や車のリース代などの値上げは打撃だ。

公定価格である介護報酬では、物価高騰を価格転嫁で吸収することができない。経営環境の異なる事業所をひとくくりにされたことに、訪問介護業界の関係者からは不満の声が相次いでいる。

改定後の昨年9月に厚労省が実施した調査では、回答のあった訪問介護事業所のうち6割近くが、昨年8月の介護保険収入について前年同月比で減収となった。業界では臨時改定や物価・賃金スライドの導入を求める声が高まっている。

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