介護保険制度は24年目を迎えた。

間 隆一郎(はざま・りゅういちろう)/厚生労働省老健局長。1966年生まれ。東京大学法学部卒業。90年に旧厚生省入省。2015年に年金局年金課長、21年に大臣官房審議官(医療介護連携、データヘルス改革等担当)、22年に大臣官房総括審議官、23年から現職(写真:記者撮影)
今は当たり前のように使える介護サービスだが、職員不足に歯止めがかからず、これまでにないレベルの崩壊が起きている。
『週刊東洋経済』2月17日号の第1特集は「介護 異次元崩壊」だ。「自宅で最期まで」――。10年後は、そんな希望はかなわないかもしれない。
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──訪問介護の基本報酬が引き下げられたことについて、強い反発の声が上がっています。
処遇改善加算を含めると訪問介護はプラス改定だ。
──基本報酬ではなく処遇改善加算に重きを置いたと。なぜですか。
2022年度、訪問介護のサービス収支差率は7.8%の黒字で、前年度(5.8%)から黒字幅は拡大した。
だが、その要因は利用者の増加ではなく人手不足による人件費の減少。健全な「改善」ではない。人が集まる環境を整える必要がある。だから訪問ヘルパーの処遇改善に重きを置いた。つけた加算率24.5%は、処遇改善加算の中で最も高い。
報酬改定で使い勝手がよくなる
──処遇改善加算は提出資料が多いなど負担が大きいと聞きます。
そのとおり。加算を取得しない理由を調査してみると「事務作業が繁雑」が58%もあった。3種類の加算のうちいずれも取得していない事業者が約3000もある。
今回の報酬改定では3種類を一本化し、事務負担を減らして、使い勝手がよくなるようにした。
──介護職の平均月収は全産業平均と約6万円の差があります。
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