制度の整備は遅れ、人材も不足。単身高齢者が行き場を失くしている。
今は当たり前のように使える介護サービスだが、職員不足に歯止めがかからず、これまでにないレベルの崩壊が起きている。
『週刊東洋経済』2月17日号の第1特集は「介護 異次元崩壊」だ。「自宅で最期まで」――。10年後は、そんな希望はかなわないかもしれない。
2022年5月、千葉県に住むAさん(女性、60代)の自宅に、東京都港区から手紙が届いた。そこには、港区で暮らす父親のBさん(90代)について〈成年後見人を選任することが必要〉と書かれていた。
成年後見人は、認知症などによって判断能力の衰えた人に代わり、家庭裁判所に選任された後見人が財産などの管理をする制度だ。Aさんは、ちょっとしたトラブルをきっかけに父親とは数年間連絡を取っていなかった。とはいえ、お互いの連絡先は知っているし、妹からも父親が認知症になったとは聞いていなかった。
驚いたAさんは、すぐに区役所に電話をかけた。そこからさらに、信じられない出来事が相次いだ。
居場所を尋ねても教えない
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