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"投資ファンド主導"で進む介護業界の経営改革 ベイン、MBKパートナーズ、日本産業推進機構…

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改革手法はコンサル仕込み。

モニターに映し出されたシフト表を見る介護職員
訪問介護のシフトはデジタル上で組む(撮影:尾形文繁)

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今は当たり前のように使える介護サービスだが、職員不足に歯止めがかからず、これまでにないレベルの崩壊が起きている。
『週刊東洋経済』2月17日号の第1特集は「介護 異次元崩壊」だ。「自宅で最期まで」――。10年後は、そんな希望はかなわないかもしれない。
週刊東洋経済 2024年2/17号(介護 異次元崩壊)[雑誌]
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労働集約型で合理化が難しいとされてきた介護業界。そこにICTを取り入れ、構造改革に取り組む企業が現れている。

改革を主導するのは株主である投資ファンドだ。そして投資ファンドによるイグジット(買収して数年後の出口)として、介護業界の再編が起きている。

最大手のニチイホールディングスは2020年にMBO(経営陣による買収)で非上場化。欧米系ファンド、ベインキャピタルの子会社となった。ベインの下での3年にわたる構造改革の結果、20年3月期に121億円だった営業利益は23年3月期に約200億円にまで拡大した。

ファンドお家芸のコストカットで切り詰めたのではないかと業界内ではささやかれてきたが、ニチイ改革に取り組んだベインの中浜俊介パートナーは「需要がない中で利益を出そうとするとコストカットするしかないが、高齢者人口の増加で介護需要は伸びている。やるべきは介護事業の強化、現場力を上げることだった」と語る。

介護に専念できる体制づくり

現場力の強化に向け、まず取り組んだのがスリム化だ。創業社長(19年に死去)の肝煎りだった英会話事業やグルーミング(ペット関連)事業、中国での介護事業など、不採算の部門を売却。浮いた資金をコア事業の介護に振り向けた。

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