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92歳の父親がグループホームで受けた壮絶な虐待 「薬で動けなくする」「部屋に閉じ込める」

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複数の職員が関わっていた虐待事件の背景を追った。

[写真左:入居当日]喫茶店で笑顔を見せていた健二さん。要介護1で歩いてトイレにも行けていた。[写真右:5カ月後]10キロほど痩せた。要介護4になり、車いす生活になった(写真:愛子さん) 

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今は当たり前のように使える介護サービスだが、職員不足に歯止めがかからず、これまでにないレベルの崩壊が起きている。
『週刊東洋経済』2月17日号の第1特集は「介護 異次元崩壊」だ。「自宅で最期まで」――。10年後は、そんな希望はかなわないかもしれない。

※2024年2月18日(日)6:00までは無料で全文をご覧いただけます
週刊東洋経済 2024年2/17号(介護 異次元崩壊)[雑誌]
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「みんなに慕われていた父がこんな目に遭うなんて……。もっと調べてから入居させるべきでした」

愛媛県新居浜市に暮らす愛子さん(仮名、62)は後悔の念をにじませる。愛子さんの父親、健二さん(仮名、92)は2022年12月、新居浜市内にあるグループホーム「はなれ茶屋」に入居した。健二さんは施設で「友達をつくりたい」と話していたという。

ところが入居からわずか5カ月後の2023年5月、健二さんは病院に救急搬送された。施設が作成した事故報告書によると、「シャワーチェアー上で顔面蒼白で脱力しているのを確認。胸部の上下運動がなく呼吸が停止していた」という。搬送先の病院で一命を取り留めたが、極度に痩せ、重度の貧血状態に陥っていた。

施設入居当日に撮影された写真では、ふっくらとした頬を緩ませ笑顔を見せていた健二さんだが、救急搬送後は10㎏ほど体重が落ち、口元にも力が入っていない(上の写真)。腰には床ずれもできていた。入居前は自分で歩いてトイレにも行ける状態だったが、現在は車いすでの生活を余儀なくされている。

「入院中の父にバナナを持っていったら、『うまいうまい』と言って食べる姿を見て涙が出ました」(愛子さん)

部屋に閉じ込め、布団を敷かずに寝かせる

いったい、5カ月間で健二さんの身に何が起こったのか。

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