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原油110ドルの衝撃、バイオエタノール混合ガソリンはガソリン高騰の「吸収剤」となりうるか

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アメリカ・イリノイ州のエタノール工場。アメリカはエタノールの主要供給国で、地政学リスクも低い (筆者撮影)

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イラン情勢が混迷する中、原油価格の上昇が懸念されている。ガソリン価格など生活に直結し、さらに物価上昇の主な要因となるためだ。
一方で、日本政府は自動車の脱炭素化に向け、2024年11月ガソリンにバイオエタノールを混合するバイオ燃料の導入目標を発表した。2030年までに、10%相当のエタノールをガソリンに混ぜる「E10」の供給を開始するというものだ。トウモロコシなどが由来のエタノールを混合すると、温室効果ガスを削減できる効果がある。また、原油と違い、エタノールの価格動向ははるかに緩やかだ。イラン情勢を受けて、そのバイオエタノール混合燃料に注目が集まっている。

アメリカとイスラエルによるイラン攻撃が続いている。それにともない、原油市場が再び緊張を強めている。2026年3月9日、WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)原油価格は1バレル110ドルを突破し、世界のエネルギー市場は急速にリスクプレミアムを織り込み始めた。現在は1バレル90~100ドルのレンジで動いているが、開戦前の同65ドル前後から30ドルほど上昇した。中東依存度の高い日本にとって、ガソリン価格の上昇は避けがたい。

このような局面で、注目されているのがガソリンに混合されるバイオエタノールの存在だ。日本政府は30年からガソリンに10%のエタノールを混合する方針を決めている(沖縄県など一部では28年から先行する方針)。また、40年までには「E20」ガソリンの供給を目指している。エタノールは原油と比べて価格変動が小さく、供給源もトウモロコシやサトウキビなど、多様だ。なによりもクリーンなエネルギー源でもある。

アメリカでは先行して普及

アメリカでは00年代からE10と呼ばれるガソリンに10%のエタノールを混合したガソリンが広く普及している。また、「E15」と呼ぶ15%混合のガソリンも販売されている地域がある。E15はE10よりもさらに安く販売されることが多く、原油高騰局面では価格上昇を緩和する役割を果たしている。エタノールの燃費はガソリンより低いものの、1ガロンあたりの価格差が7セント以上あれば実質的なコストメリットが生じる。

日本で唯一、愛知県を中心にバイオエタノール混合ガソリンを販売している中川物産(名古屋市)では、7%のエタノールを混合した「E7」を販売している。バイオエタノール混合ガソリンはレギュラーガソリンと比べ、通常なら1リットル当たり2円前後安く販売されている。中川物産は「エタノール価格も原油価格の上昇に連れて上昇しているが、その上げ幅は原油価格ほどではない」と説明する。

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