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脱炭素化推進のカギとなる「LCA」「CI」が持つ重要性。世界的権威シュテフェン・ミューラー博士が日本に訴えるエコシステム構築のススメ

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Steffen Mueller(シュテフェン・ミューラー)/イリノイ大学シカゴ校(UIC)のエネルギーリサーチセンター長。バイオエネルギーと交通排出研究グループを率いる経済学者で博士。専門はライフサイクル分析、持続可能な燃料供給チェーンの認証、農業由来の炭素排出・吸収の定量化 (写真:記者撮影)

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EV普及が足踏みする中で、脱炭素化の推進約として期待されるバイオエタノール燃料。食料と燃料を両立させる新たな技術・ビジネスモデルも世界で広がっている。エタノールの最新動向をグローバルな視点から整理する。
第1回 EV普及遅れで浮上「バイオエタノール」燃料の活路
第2回 脱炭素化推進のカギ握る「LCA」と「CI」の重要度(本記事)
第3回 トウモロコシ由来SAFに挑戦「米ランザジェット」の戦略(仮)
第4回 エタノール×CO2回収・貯留「米Gevo社」が描く将来(仮)

地球温暖化を抑制するためには、温室効果ガスの排出を抑えることが最大の目標となっている。原油や石炭などの化石燃料からエタノールなどのバイオ燃料への使用へシフトしつつあるいま、「バイオ燃料の使用が、化石燃料よりどれだけ温室効果ガスの発生を抑制するのか」、すなわちその主因となる二酸化炭素(CO2)などをどれだけ排出しないかをみる必要がある。

そこで用いられるのが「ライフサイクル分析」(LCA)だ。これは技術や製品のサプライチェーンのすべての段階に関連する環境への影響を評価するフレームワークのこと。アメリカ・イリノイ大学シカゴ校(UIC、州立)エネルギーリサーチセンター長・エコノミストのシュテフェン・ミューラー博士に、具体的なLCAの中身と温室効果ガスの抑制にLCAがどうかかわってくるのか解説してもらった。

CI「炭素強度」とは

――LCAは、専門家を除き日本ではまだなじみがない評価基準のように思えます。

私はLCAをさまざまな経済活動にどう適用するかを研究している専門家で、とくに自動車といった道路交通におけるLCAを専門としている。その際、「炭素強度」(CI)という指標がLCAの主な指標となる。

これは活動量に対するCO2の排出量を示す指標として知られ、アメリカなど世界で使われている。日本で導入が決定されたエタノール混合ガソリンや、すでに使用されているETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル=バイオエタノールと石油系ガスであるイソブテンを合成することで得られるガソリン)、航空業界の大きな課題となっているSAF(持続可能な燃料)など混合燃料でCIを測定する。単位は「メガジュール(熱量・MJ)当たりに排出されたgCO2(二酸化炭素の質量)」=gCO2/MJで示される。値が高いほど環境負荷が大きい。

――道路交通の場合、その燃料が必要となりますが、どのような手法がとられるのでしょうか。

現在メインとなっているフレームワークから、さまざまなタイプの車両や燃料の排気を比べる。その重要なフレームワークはアメリカのエネルギー省傘下にあるアルゴンヌ国立研究所が作成・更新を続けている「GREETライフサイクル分析」だ。GREETは、温室効果ガスや規制排出、技術におけるエネルギー使用と幅広い分野をカバーしている。

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