1988年、ドナルド・トランプはインタビューで、イランがアメリカ軍を攻撃した場合には「カーグ島を徹底的にたたく。乗り込んで奪う」と語っていた。
それから約40年後、大統領となったトランプが「イランの至宝」と呼ぶ、同国最大の石油輸出拠点カーグ島の行方が、アメリカとイスラエルによる対イラン戦争の焦点に浮かび上がってきた。
「たったひと言でパイプ(ライン)は消え去る」
トランプは16日、ホワイトハウスでそう語り、アメリカが先週、カーグ島の軍事施設を爆撃したのに続いて、今度は石油インフラを攻撃するという脅しを改めて繰り返している。「再建には長い時間がかかるだろう」とも語った。
エネルギー価格高騰に拍車
ペルシャ湾北端にあるこの小さな島は、アメリカが戦争するときには石油資産を狙うべきだとたびたび主張してきたトランプにとって、魅力的な標的に映る。
そのカーグ島への攻撃や占拠作戦に動けば、イランが天然資源から利益を得る能力に大打撃を与える可能性がある一方で、エネルギー価格をさらに押し上げるリスクがある。イラン産原油を世界市場から締め出したり、中東地域の別の石油インフラに対する一段と深刻な攻撃をイランから誘発したりするものであるからだ。
エネルギー価格がさらに高騰すれば、それに伴って政治と経済のあらゆる問題が深刻化する。
ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のエネルギー専門家クレイトン・シーグルは、イランは「世界経済に極めて重大な影響をもたらす最大級の石油・ガス関連施設に対する」攻撃は控えてきたように見えると話す。
自国の石油インフラが攻撃された場合に、対抗措置として事態をエスカレートさせる選択肢を温存しているという見方だ。
さらにカーグ島はホルムズ海峡から約400マイル(約644km)離れているため、たとえアメリカが完全に支配したとしても、イランがアメリカに対して持つ最大のテコ、すなわち「ペルシャ湾からのエネルギー輸送を締め上げる能力」を奪う効果はほとんどない。
「イランはすでに全世界のエネルギーの首根っこを押さえている。仮に今日カーグ島を奪ったとして、それでイランが船や重要インフラを攻撃し、地域のエネルギー輸出を支配し続けている状況をどう止めるのか」とシーグルは問いかける。





















