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2040年度に69万人不足する「介護 異次元崩壊」 ヘルパーが消え、サービスを受けられなくなる日

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84歳のヘルパーが奮闘している。

照明の落ちた施設内で勤務する女性職員
介護職員は施設でも不足している。特別養護老人ホームの夜勤は綱渡り状態だ(写真:記者撮影)

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今は当たり前のように使える介護サービスだが、職員不足に歯止めがかからず、これまでにないレベルの崩壊が起きている。
『週刊東洋経済』2月17日号の第1特集は「介護 異次元崩壊」だ。「自宅で最期まで」――。10年後は、そんな希望はかなわないかもしれない。
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「今日は訪問介護に行く日だったのに、別の日と勘違いしてしまっていた」

1月中旬、愛知県の岡崎市社会福祉協議会に慌てて電話をかけてきたのは、同協議会にヘルパー登録をする75歳の女性だった。そして、疲れた様子でこう続けた「もう辞めさせてほしい。こんな失態をするようになったら、今後も利用者さんや皆さんに迷惑をかけてしまうから」。

小原修子介護課長は必死になだめた。「どうして勘違いをしてしまったのか、一緒に考えてみましょう。きっと対策があるはず。だから、どうか辞めないで」。

小原さんが必死に慰留したのは、1人辞めるだけでも現場に与える影響が大きいから。この地域を支えるのは高齢のヘルパーたちだ。

平均年齢は63.5歳

その一人である岩瀬靜子さん(84)は、精神疾患のためにグループホームで暮らす山田逸雄さん(69)に、週1回、買い物や散歩のサポートをする。

「今日はどっちへ行く?」

岩瀬さんが尋ねると、山田さんは少し考えて、左方向を指さした。足元がふらついて電信柱にぶつかりそうになると、岩瀬さんは素早く山田さんの体を支えた。山田さんは、「週に1回ここに来てもらえているから自分は外を出歩ける。心強い」と語る。

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