有料会員限定

人手不足なのに報酬引き下げ「訪問介護」の窮状 事業所の倒産相次ぎ、2023年は過去最多を更新

✎ 1〜 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 最新
拡大
縮小

在宅生活を支える「最後の砦」が今、崩壊寸前だ。

利用者宅を訪ねるヘルパーの村上さん
ヘルパーの村上さん。山間部中心に1日6〜7軒、車で80km近く走り、利用者宅を訪ねる(写真:筆者撮影)

特集「介護 異次元崩壊」の他の記事を読む

今は当たり前のように使える介護サービスだが、職員不足に歯止めがかからず、これまでにないレベルの崩壊が起きている。
『週刊東洋経済』2月17日号の第1特集は「介護 異次元崩壊」だ。「自宅で最期まで」――。10年後は、そんな希望はかなわないかもしれない。
週刊東洋経済 2024年2/17号(介護 異次元崩壊)[雑誌]
『週刊東洋経済 2024年2/17号(介護 異次元崩壊)[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。定期購読の申し込みはこちら

「人生の最期は自宅で迎えたい」──。この望みをかなえるには訪問介護が不可欠だが、深刻な人手不足などを理由に倒産する訪問介護事業所が相次ぎ、昨年は67件と過去最多を更新した。しかし厚生労働省はこれに逆行するかのように、2024年度介護報酬改定の基本報酬について訪問介護の「引き下げ」方針を固めた。

業界に衝撃が走った。

この方針が示された社会保障審議会・介護給付費分科会では、「撤退を余儀なくされる事業所が出るのではないか」(稲葉雅之委員)、「訪問介護サービスがなくなると在宅医療は容易に破綻する」(江澤和彦委員)などと多くの委員が危機感を訴えた。

人材を確保できず人件費が減少

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
介護 異次元崩壊
職員不足に歯止めかからぬ"介護業界の窮状"
これまでにないレベルの崩壊が起きている
ヘルパーが消え、サービスを受けられなくなる日
訪問介護の報酬減には「怒り通り越して"あぜん"」
老健局長の間隆一郎氏インタビュー
22人に1人で対応、コールが鳴りやまない
事業所の倒産相次ぎ、2023年は過去最多を更新
上がり続ける介護保険料、増える利用者負担
身元保証代行サービスはトラブルが続発
血管を詰まらせ死亡する例が繰り返し報告
「前歯を折られた」「派遣の質はよくない」
「自力でトイレへ行けるようになったら応募して」
れいわ新選組・天畠大輔議員が語る「労働の価値」
「介護サービスが過度に市場化された」
ベイン、MBKパートナーズ、日本産業推進機構…
政府が規制緩和の根拠とした結果は正しいのか
訪問看護を行う事業所数は10年で倍増!
「掲載料を払うまで電話をかけ続けるよ」
「薬で動けなくする」「部屋に閉じ込める」
高齢者虐待を繰り返す施設の特徴
申請の前からさまざまな手を打つことが肝心
特養、老健、サ高住、グループホーム……
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内