――訪問看護の必要性を判断し、訪問看護の指示を出すのは主治医です。ただ、サンウェルズの報告書では9割以上の施設で一律に、毎日3回、複数名での訪問看護が実施されていました。
制度上、そういう建て付けにはなってはいる。だが実際には医師が「週に何回」「1回何分」「何人で訪問してほしい」といった具体的な指示までを出すことはない。一般的に使われている雛型を見てもらえればわかるが、そうした事項を記すための欄すら存在しない。
というのも、訪問看護は医療というより介護と連続性があるものだからだ。患者さんたちが「自宅」で過ごしていくために必要なケアを、看護師が自分たちで判断して実施できるーー。そういう信頼関係のもとで医師は訪問看護の必要性を判断している。だからこそ、実務上の裁量は現場にある。
では医師は何を指示するかというと、少なくともこれはやってほしいというもの。たとえば「がんの終末期なので痛みに対してこまやかなケアをしてほしい」「褥瘡(じょくそう)(床ずれ)ができやすいから注意を」「ご家族が不安を抱いているので、その目配りもしてほしい」といったたぐいだ。
30万円を超えたら「事件」
――パーキンソン病に特化したサンウェルズの場合、ある年は利用者1人あたり月81万円の診療報酬を得ることを本部から「合格ライン」として提示されていました。
在宅医療を19年やっているが、パーキンソン病患者への訪問看護を依頼して80万円になったというケースは一度も見たことがない。介護保険も組み合わせて1カ月5万〜10万円がボリュームゾーンで、大丈夫かどうか見に行くだけでよければ数万円で済む人も結構いる。自宅で病状が急変したケースを除けば、30万円を超えるのは「事件」だ。
ところが患者がホスピス住宅に入ると、なぜか皆単価が高くなる。
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