ホスピス住宅「儲け至上主義」で不正行為が蔓延。最大手にも疑惑、手厚い看取りの制度が収益化手段に

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ホスピス住宅「PDハウス」の外観
サンウェルズが展開するホスピス住宅「PDハウス」(写真:編集部撮影)
高齢化社会の日本で介護のニーズは高まるばかり。人手や財源が不足する中、住む場所や経済力、どんな施設を選ぶかによって格差が生まれている。『週刊東洋経済』4月19日号の第1特集は「介護 大格差」だ。

病院から退院したが自宅で過ごすことが難しい末期がんや難病の高齢者が終末期を過ごす場として拡大してきたホスピス住宅。ここで、不正が蔓延している。

東証プライム市場に上場し、神経難病のパーキンソン病に特化したホスピス住宅「PDハウス」を全国で43施設展開するサンウェルズ。不正に診療報酬を請求しているという報道を受け同社は2月、特別調査委員会による調査報告書を開示した。同委員会は不正を認定し、その試算額は総計28億円超に上る。不正の手法はどれも訪問看護の制度を利用したものだ。

「取れるだけ取る」訪問看護が横行

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ホスピス住宅は、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅として運営される。PDハウスの場合、利用者は7〜8畳の個室で生活し、ここが「居宅」と見なされる。施設には訪問看護、訪問介護事業所が併設され、居室を訪問してサービスを提供するたびに報酬が発生する。

PDハウスは、パーキンソン病患者を中心に受け入れている。要介護者への訪問看護では通常、介護保険から報酬が支払われ、要介護度によって利用に限度額がある。だが厚生労働省の定めた20の疾患などがあれば、報酬の出所が医療保険に切り替わる。主治医の指示書により、最大週7日・1日3回の訪問が可能だ。

「別表7」と通称されるこれらの疾患の1つがパーキンソン病で、末期がんや筋萎縮性側索硬化症(ALS)なども含まれる。訪問看護の基本報酬のほか、複数名で訪問する場合や、早朝や深夜に訪問した場合には加算もつく。こうした医療保険が収入の柱となり、訪問介護による介護保険収入や居室料も生じる。

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