葉山町ホテル開発の許可獲得に向けた設計会社の口車と、それにやすやすと乗っかり「許可」を出した神奈川県"お役所仕事"のお粗末
風光明媚な葉山町の森戸海岸沿いに計約1940㎡の土地を取得したアパレルメーカー、トゥモローランド(東京都渋谷区、佐々木啓之代表取締役会長)は2019年12月2日、同町まちづくり条例に基づき「トゥモローランドホテル事前相談」を同町に提出。ここから高級リゾートホテル「Casa CABaN HAYAMA」の建設計画が本格的に動き出す。
それから約1年半が過ぎた21年5月26日。ホテルの設計を請け負った久米設計(東京都江東区)設計本部のM氏と、その部下のT氏が葉山町役場の都市経済部を訪れた。この訪問についてM氏は道幅の計測方法について相談に行ったと、25年3月21日開催の近隣住民との2者協議で説明している。「垂線や(円の)半径、直径などいろいろあるうちのどれで測ればよいのかという話を聞きに行った」と。
葉山町は「規定」だけを伝えた
道幅の計測方法には大きく分けて、①一方の道路境界線から反対側の道路境界線に向けて垂線を引く、②道路の中心線から左右に垂線を引く――という2つがあるのは、前回も述べた。②では例えば幅4mの道路でクランク状の箇所がある場合、中心線上にコンパスの脚を立てて半径2m(直径4m)の円を描き、これを進行方向に転がすことで車両が円滑に通過できるかが確認できる。ただ、そのどちらを計測に使うのかについての明確な規定はない。

葉山町はまちづくり条例で「開発事業区域の面積が1000㎡以上1万㎡未満の場合、開発事業区域と接する主要道路は当該開発事業区域の反対側の道路境界線からの距離が6m以上確保されるよう拡幅整備されるものとする」と定めている。久米設計との面談で、葉山町は道幅を計測する際に①と②のどちらを使うのか尋ねられた都市経済部道路河川課(当時)の阿比留正輝職員は、「各点より垂線で計測して幅が確保できていればよい」と回答したが、これはこの規定を忠実に伝えたまでのことだった。




















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