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葉山町ホテル開発の許可獲得に向けた設計会社の口車と、それにやすやすと乗っかり「許可」を出した神奈川県"お役所仕事"のお粗末

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都市経済部の雨宮健治部長は24年11月28日の町議会総務建設常任委員会で、「道幅は中心線から(左右に)垂直に計測する方法が一般的」としたうえで、「(まちづくり条例の管轄外となる)6m未満の道幅の計測方法は、神奈川県が都市計画法に基づいて判断するため、葉山町が判断を求められることはないと考えている」と述べている。

ところが久米設計のM氏やT氏は阿比留職員の回答を「半径での計測ではない」、つまり①の意味として受け取ったとみられる。そしてそれは、葉山町が「管轄外で言及する立場にない」としている、開発区域内の幅6m未満の接続道路(都市計画法上の呼称で、最寄りの整備された道路とホテル敷地に接する前面道路とを結ぶ道路のこと)の道幅の計測にも援用できると解釈したようだ。M氏は前述の2者協議で次のように述べている。

「都市計画法に基づく道路の計測方法は自治体ごとに判断が異なるため、(神奈川県には)最初からボール(円)と垂線の両方の話を持っていきましたが、都市計画法と葉山町まちづくり条例とでは道幅の測り方が異なることをあらかじめ想定して葉山町に聞きに行ったわけではないので、測り方は当然(一方の道路境界線から反対側の道路境界線に向けて引いた垂線)一つだろうと思っていました」

道路拡幅に向けて

実はトゥモローランドは19年夏以降、ホテル敷地の北隣に位置する邸宅を所有する大手画廊、日動画廊(東京都中央区)との間で土地取引に関する交渉を行っていた。日動画廊所有地の横を通る接続道路に存在する、実測値で幅3.79mの狭隘(きょうあい)な箇所を「4m以上」に拡幅することが目的だ。

両者が協議の対象としたのは、①接続道路に接する形で日動画廊所有地に向かって左側に立っている石積みの塀(角の門柱部分はコンクリート製)、②接続道路に接する形で日動画廊所有地の入り口付近に所在する、広さわずか1.76㎡の宅地(写真の斜線部分)――という2つの物件だった。

前者は19年夏から秋にかけて、現存する塀を崩してセットバック(後退)させた後に建てる塀や門柱の形まで話し合われたものの、何らかの理由で21年初め頃には打ち切りに。一方で後者は、トゥモローランドが関連会社アシタバの名義で09年12月に購入した、ホテル敷地北端に所在する狭い土地と交換する条件で、21年初め頃までに暫定合意したものとみられる(実際には手続き上の問題があり、交換が成立するのは、葉山町まちづくり条例に基づく事前協議確認通知書がトゥモローランドに交付されて1カ月後の22年5月31日)。

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