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ホテル開発事業者との関係をめぐる葉山町長の答弁の不自然な変遷を住民が疑問視。開業してもホテルの前途は多難

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2025年末の開業予定が延期されたホテル「Casa CABaN HAYAMA」(写真:編集部撮影)

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皇室「御用邸の町」として知られる神奈川県葉山町。時間がゆったりと流れる海辺の町に魅了される人は今も昔も数多く、ある不動産会社が実施した「住み続けたい街ランキング」首都圏版では5年連続でトップに立っている。
ところが今、その町が揺れている。ある住民が「葉山の豊かな日々が消し飛ばされた」と憤激するその原因は、海岸線沿いに建設された豪奢なホテルだ。住民が建設に強く反発する理由は一つや二つではなく、無数にある。怒りの矛先は事業者、設計会社、葉山町、神奈川県にまで向けられている。
葉山の波は鎮まるのか。ジャーナリスト、田中周紀氏による連載企画「波乱 御用邸の町『葉山』住民の憤激」第6回(最終回)は、葉山町の森戸海岸に高級リゾートホテルの建設を計画したアパレルメーカー、トゥモローランド(東京都渋谷区、佐々木啓之代表取締役会長〈78〉。以下、啓之氏)が同町に納めた高額の寄付をめぐり、山梨崇仁町長(48)の説明が不自然に変遷した問題を取り上げる。

第1回 御用邸の町「葉山」の豪奢ホテルに住民が憤激
第2回 葉山町「いわく付きの場所」でホテル開発の手口
第3回 葉山町ホテル開発許可に向けた設計会社の口車
第4回 葉山町からホテル開発許可を得るための"秘策"
第5回 資料疑問視しても葉山町長が開発を許可した理由
第6回 葉山町長が事業者訪問で不自然な「答弁変遷」(本記事)

「(トゥモローランドの啓之氏と)面識が直接あるとすれば、ふるさと納税(寄付)をもらったので、それぐらいです。今回のホテル建築に関してうんぬんとかは特にないです。建築に関してはほとんど何も協議はなく、協議が終わった後は電話連絡があったので、下で一回面談を持ちました。お嬢様(啓之氏実娘の坪田〈佐々木〉由香同社取締役。以下、由香氏)とお会いしました」

2023年5月9日、葉山町役場庁舎4階にある大会議室。ホテル建設反対派住民の要望で実現した面談の席で、住民から「もともとトゥモローランド会長や社長と面識はあったのか」と問い質された山梨町長はこう述べた。

住民と町長が激論を交わした葉山町役場(写真:編集部撮影)

町長の「事業者訪問」と「開発許可」

学生時代にウィンドサーフィン選手として活躍した山梨町長は12年1月、なじみのある葉山町の町長に初当選(現在4期目)。トゥモローランドが計画した高級リゾートホテル「Casa CABaN HAYAMA」の取り付け道路の道幅が6m未満だったところ、葉山町まちづくり条例に基づく町長名の「ただし書き」を交付して、22年4月27日に同社と町とで「開発事業に関する協定書」を締結した。

その事実が23年1月ごろ、反対派住民による葉山町への質問で判明。さらにただし書きが交付される2年8カ月前の19年8月21日には、山梨町長自身が部下を伴って公用車で東京・恵比寿のトゥモローランド本社を訪れていたことも、同町のホームページ上で公開されている「町長の1日」のコーナーでわかった。ある近隣住民が振り返る。

「取り付け道路の道幅が6m未満だったにもかかわらず、ただし書きが交付されている点に疑念を抱いた私たちは、『トゥモローランド本社を訪ねた町長と啓之氏との間で、何か疑わしいやり取りがあったのではないか』と推察。町長に説明と住民との面談を再三求め、ようやく面談が実現したのです」

次ページ町長と反対派住民が「事業者との関係」めぐり激論
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