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企業版ふるさと納税 「官製談合疑惑」で揺れる町 DMMなど特定企業への利益誘導を図ったか

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福島県国見町が今、企業版ふるさと納税を利用した官製談合疑惑で揺れている。

福島県国見町議会で調査結果を聞く引地真町長
福島県国見町議会で、百条委員会の調査結果について聞く引地真町長(写真右)(写真:毎日新聞社/アフロ)

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寄付総額が1.1兆円、利用者数は1000万人を超えた「ふるさと納税」制度。60万品目以上にのぼる返礼品競争が過熱している。本特集では、巨額の寄付マネーの行方や税財政にもたらすひずみに迫った。

人口約8100人の町が今、企業版ふるさと納税を利用した官製談合疑惑で大揺れになっている。

疑惑の舞台となったのは、福島県の北端に位置し、「コシヒカリとくだものの里」を掲げる国見町。その町議会は、調査特別委員会(百条委員会)を設置し、今年7月に62ページに及ぶ報告書を公表した。報告書の内容に基づいて、疑惑の経緯を探っていこう。

事の発端は、国見町が「官民共創コンソーシアム(略称・カプコ)」を立ち上げたことにある。国見町が内閣府から認定を受けた地域再生計画の具体策である。

カプコの立ち上げに向け、国見町は企画競争入札を実施。応募したのは、備蓄食品の開発などを手がけるワンテーブル(宮城県多賀城市)という企業1社だけだった。

報告書には、「入札に見せかけた実質的なワンテーブルとの随意契約であったと考えるのが相当」で、「町の信用喪失は甚大である」と記された。

匿名企業が3億円超を寄付

というのも、ワンテーブルが事業を受託した直後、匿名企業が企業版ふるさと納税で3億円超を国見町に寄付。匿名企業はなぜか、寄付金の使途について、救急車の開発・製造を希望した。地域再生計画の中に、救急車に関する文言がいっさいないにもかかわらずだ。

匿名企業による多額の寄付から数日後、カプコが正式に設立され、官民連携事業に関する議論を開始。するとすぐに高規格救急車の開発とほかの自治体へのリース事業というテーマが持ち上がった。

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