ふるさと納税は「寄付」なのか?人々の意識はどこに向いているか?最新調査から見えたその実態…制度見直しが必要である理由
最新の『寄付白書』によると、2024年の1年間に日本の人々が行った寄付の総額は2兆261億円に上り、過去最高額になった。
日本の寄付統計は、政府ではなく日本ファンドレイジング協会が主催する「寄付白書発行研究会」の調査に基づいて作成され、その成果として発行される『寄付白書』を通じて発表されてきた。研究会には、筆者も含め大学の研究者や非営利団体の実務家が参加している。
2024年の個人寄付総額は、前々回白書の2016年調査比で2.6倍にもなった。この伸び率は、寄付先進国であるアメリカ(2016年比1.4倍)よりも大きい。
世界的に見て成長軌道にある日本の個人寄付市場
日本で1年間に1度でも寄付を行ったことのある人の割合(寄付者率)は44.5%で、この水準は10年近く横ばいで推移している。一方、アメリカでは寄付者率が下落傾向にあるとされる。こうした比較を踏まえると、「寄付文化がない」と揶揄されがちな日本の個人寄付市場は、実は世界的に見てまだ成長過程の途中にあると言える。
この伸びの動力源となっているのが、ふるさと納税だ。2016年には2844億円だったが、2024年には4.5倍の1兆2728億円まで増えた。ふるさと納税を除いた従来の寄付も、4912億円(2016年)から7533億円(2024年)とアメリカと同程度の1.5倍に増えているが、ふるさと納税の伸び率には及ばない。
ここで浮かぶのが、「はたして、ふるさと納税は『寄付』なのか?」という疑問だ。この疑問は、筆者らが『寄付白書』を出版するたびに投げかけられてきたものだ。




















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