市場の熱狂はバブルかリアルか?AIインフラ業界に突如参入した「データセクション」…3000億円規模の受注をもたらした"謎の大口顧客"の正体とは
「非常に市場の反響が大きかったものですから、なるべく多くの方々に説明会での内容を聞いていただきたく、日曜日ではございますがお時間を設定させていただきました」
11月30日18時。多くのビジネスマンが休みを取っている日曜日の夜に、とある上場企業のオンライン説明会が急きょ開かれた。東証グロースに上場する、データセクションだ。
2日前の金曜日、同社が通期利益予想の下方修正を公表したところ、株価は一時、同日の始値から20%近く下落する展開となった。こうした事態を受けて開かれた業績予想修正に関する説明会の場で、石原紀彦社長は冒頭のように釈明した。
わざわざ週末に説明会を開いて、社長自ら修正理由の説明に立ったのも無理はない。データセクションはこの1年、市場で大きな注目を集めてきた。今年に入ってAI事業の展開に必要なGPU(画像処理半導体)を搭載したAIインフラ計画を次々と発表し、年初に600円台だった株価は、7月に一時4000円超をつけるほど、投資家の期待は一気に高まっていた。
超大口案件を連続受注
2000年に設立されたデータセクションはもともと、画像分析を用いた小売店向けのマーケティング支援などを展開していた。しかし業績不振から24年に経営陣を刷新し、新たにAIデータセンター(DC)事業に参入した。
今年7月には、GPUサーバーを供給している台湾企業とエヌビディア製の高性能GPU5000個を約390億円で取得する契約を締結し、大阪に「アジア最大級のAIスーパークラスター」を構築すると発表した。
この事業は、データセクションが入手したGPUを他社から借りたDCに設置し、計算資源をクラウドサービスとして顧客に貸し出すといったもの。実利用の裏付けとなる受注に関しても、最大5年で1000億円規模の大口契約を結んだと発表した。

AIDC事業の本格展開を受け、データセクションの株価は急上昇。さらに10月には、オーストラリアでも高性能GPU1万個を搭載したサーバーの利用枠を提供する受注が入り、総額は最大5年で2000億円規模に上ると発表した。



















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