
バリー・アイケングリーン『とてつもない特権 君臨する基軸通貨ドルの不安』小浜裕久 監訳/勁草書房
戦後のブレトンウッズ体制は、米ドルのみを金と交換可能とするものだったため、ドル1強体制が確立した。しかし1960年代ごろまでは、国際貿易では英ポンドが使われることがあった。ポンドからドルへの基軸通貨の移行には30〜40年、あるいはそれ以上を要したという解釈もある。
現在のドル単一基軸通貨制が、仮にドル、ユーロ、人民元などの複数基軸通貨制に移行する場合、どの程度の時間を要するのか。
基軸通貨となるための時間と条件
英国の通貨覇権のピークは第1次世界大戦が始まった14年だった。大戦が終結した18年には、戦費調達による対外債務の増大もあり英国の経済力は大きく低下。ポンドの信用は傷ついていた。
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