
バリー・アイケングリーン『とてつもない特権 君臨する基軸通貨ドルの不安』小浜裕久 監訳/勁草書房
米国のトランプ政権が各国に課した関税はどのような正当性を有するのか。
大統領経済諮問委員会のスティーブン・ミラン委員長は2025年4月の講演でこう述べた。安全保障や世界貿易、国際金融などの国際秩序維持に米国は多大な費用を要し、各国は「タダ乗り」しているから、費用負担の一部として関税を受け入れるべきだ、と。
しかし現実には、米国が覇権や通貨覇権から享受する利得は多大だ。ただし、その利得は金融やITなどの一部に集中し、疲弊する製造業労働者や地域経済には再分配されていない。米国の覇権が揺らいでいる原因は、中国やグローバルサウスの台頭だけではない。真の問題は、米国内の社会分断によって、覇権を支える正統性や信認が揺らいでいることなのだ。
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