
『とてつもない特権 君臨する基軸通貨ドルの不安』バリー・アイケングリーン/小浜裕久 監訳/勁草書房
米国で第2期トランプ政権が開始した後、欧州の機関投資家は、米国に集中していた投資資金の一部を自国に還流させると同時に、米国以外の国に再投資する動きを見せ始めた。米国の覇権や通貨覇権の継続を疑う人が増えているのだ。そうした動きは中東や東南アジアでも観測されるが、例外は日本だ。日米同盟もあり、米国の覇権の継続を疑う人が少ないのだろうか。
ドル体制の揺らぎ
米ドル単一基軸通貨体制は今後も続くのか。それを読み解くうえで押さえておきたいのが国際金融史の第一人者、バリー・アイケングリーンの『とてつもない特権』だ。出版はリーマン危機後の2011年で、当時もドル体制の揺らぎが懸念されていた。本書は、ドル1強体制は直ちには崩れないものの、単一通貨が基軸通貨であるのは戦後の冷戦構造の下で生じた歴史的にまれな現象だとし、それは不安定で永続しないと論じる。
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