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為替=ドル円だと思っていては見落とす「世界で全面安」という円の実像…アメリカと一蓮托生の日本、円はドルとセットで売られている

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*2025年10月30日7:00まで無料の会員登録で全文をお読みいただけます。それ以降は有料会員限定となります。
「高市トレードで円安ドル高」の外側で「円安・ドル安」が進んでいる(写真:Bloomberg)

高市早苗氏が10月4日、自民党総裁に選出されて以降に始まった株高・円安・金利上昇の流れは継続しており、日経平均株価は10月27日の終値が初めて5万円の大台に乗った。

ただ、ドル/円相場に関して言えば昨年7月につけた1ドル=162円付近、年初の1ドル=159円付近と比較して円高・ドル安水準にある。大きな円高地合いにはなっていないものの「2022年3月に始まった円安局面は一服している」という印象を持つ向きもあるかもしれない。

しかし、これはまったくの誤りである。

円の名目実効レートは、4月から下がりっぱなし

確かに、本稿執筆時点のドル/円相場は1ドル=153円付近であり、これは年初来で見れば円高・ドル安ということになる。

しかし、主要貿易相手国の通貨に対する加重平均である名目実効為替相場(NEER)で総合的に見た場合、円は10月4日の自民党総裁選を境として年初来下落に転じている。もっとも、下落に転じたのは10月に入ってからだが、ピークは4月につけており、それ以降は下落基調が続いてきた。

トランプ氏が相互関税を公表した4月2日の「解放の日」を受けたドル全面安で4月下旬にかけては円の名目実効為替相場も急騰しており、この際、「いよいよ過去3年にわたる円安局面の巻き戻しが始まる」という期待感はにわかに強まっていたと記憶する。筆者が従前唱えてきた構造的な円安という見立てに対し、疑義を含め多くの照会を頂戴したのもこの時期だ。

しかし、その後、トランプ関税を巡る各種摩擦が終息するにしたがって(≒いわゆるTACO「Trump Always Chickens Out=トランプはいつも尻込みして退く」相場が強まるのに従って)円の名目実効為替相場は下落に転じ、今夏を通じてほぼ年初来で横ばいで推移した。

ここで注意すべき事実がある。

次ページ【TACOだけじゃない円安再起動の背景】
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