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〈インタビュー〉オムロンを再び「時価総額2兆円」の高みへ、JAC大塚博行社長「制御機器事業で原点回帰を」

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大塚博行(おおつか・ひろゆき)/1968年生まれ。早稲田大学商学部卒業、オックスフォード大学ヨーロッパ研究学修了。住友銀行(現三井住友銀行)、ラザードを経たのち、カーライル・グループ日本法人にて2020年より副代表。2023年に独立し、ジャパン・アクティベーション・キャピタル(JAC、当初はニュートン・インベストメント・パートナーズ)を設立(撮影:梅谷秀司)

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ジャパン・アクティベーション・キャピタル(JAC)は、カーライル日本法人で副代表を務めた大塚博行社長CEO率いる上場株ファンド。今年7月にFA大手のオムロンに約300億円を出資すると発表した。
大塚氏は「出資先の経営陣と同じ船に乗り、持続的な成長を目指す」と覚悟を語る。不調のオムロンにどのように入り込み、ファンドとしての成果を得るつもりなのか、詳しく聞いた。

オムロンは「日本がもっと誇るべき会社」

――なぜオムロンに投資すると決めたのか教えてください。

株式市場からふさわしい評価を得られていない企業が残念ながら日本では散見される。ここで言う評価とは、将来の成長期待感や、そこから醸し出されるEV/EBITDA倍率、PER(株価収益率)などのマルチプルのことだ。

オムロンは、日本が本来もっと誇るべき会社の1つだ。カーライル時代から経営幹部との付き合いがあり、このままではダメだという思いもあった。

また、上場会社では、時価総額が1兆円、2兆円を超えると投資家層が変わる。一般論として、一時は評価されたにもかかわらず、何らかの事情で停滞している会社のほうが、変革意思は強い傾向にある。

オムロンは時価総額2兆円の"景色"を見たことがある企業だが、今は様々な事情から下がっている。オムロンを元々いた位置以上のところに引き上げることが投資した目的だ。

――オムロン側とは、いつから話が進んでいたのでしょうか。

コミュニケーションは昔からとっていたが、(ファンドの総額が)約1300億円の1号ファンドでは、オムロンの規模の会社に出資することは難しかった。2号ファンドを2025年3月に組成できたことで、出資することができるようになり、具体的になった。

弊社の投資戦略に興味を持ってくれる会社はそれなりの数があったが、オムロンとはちょうど投資の機運が高まったこともポイントだった。

JACのアドバイザーにはニデック元CEOでオムロンと親しい関潤氏もいるので、相談に乗ってもらっている。

――今までにJACが出資したライオンやピジョン、タダノの共通点や違いは。

やり方の違いはあまりない。ただ、成長期待感を作るには、売り上げが100%国内の会社だと難しい。海外売上高が高いというのは4社で共通している。

非公開化したほうが事業のマルチプルを高めるような支援をやりやすいケースもあるが、時価総額の大きい企業になると非公開化は難しくなる。そして、弊社はPE(未公開株)ファンドではないので、非公開化はしない。

出資先とは例えば、短・中期の戦略を考える会議を月1回必ず行っている。すると、経営にスピード感が出始める。カーライル時代からのやり方で、喧々囂々(けんけんごうごう)となるときもあるが、持続的成長のために、耳障りなことも言う。

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