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ニデックの買収「必ず失敗する」牧野フ株主が反対 創業者寄付財団は「業界発展に寄与するか疑問」

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あだち・としお 京都大学法学部を卒業後、1971年に通商産業省(現在の経済産業省)へ入省。産業機械課長や内閣府沖縄振興局長を経て、2003年にシャープへ入社し、2007年に代表取締役副社長。日本機械工業連合会の副会長専務理事などを歴任後、2023年より工作機械技術振興財団の理事長(編集部撮影)
「公開買い付けの提案に反対であり、応ずることはできない」
ニデックが表明している牧野フライス製作所への買収提案に対し、牧野フライスの大株主である工作機械技術振興財団が3月3日、声明文を出した。
同財団は牧野フライスの創業者・牧野常造氏(2003年没)から同社株を寄贈され、1979年に設立。2024年9月時点で3.59%を保有し、配当を原資として、工作機械に関わる研究を助成・表彰してきた。役員には学者やファナックの稲葉善治会長など、業界の有識者20人が名を連ねる。これまでの支援実績は1100件超、計約12億円に上る。
ニデックは4月4日から、牧野フライス株式のTOB(株式公開買い付け)を開始すると発表している。いまだ牧野フライス側は賛否を明らかにしていない中、声明を出したのはなぜか。安達俊雄理事長に真意を聞いた。

自己都合的な判断で株主軽視だ

――ニデックの牧野フライス買収に反対する理由は何ですか。

TOBで完全子会社化を目指すのであれば、スクイーズアウト(株の強制買い取り)の決議に必要な3分の2以上を取得するのが普通だ。にもかかわらずニデックは今回、50%をTOB成立の下限とした。

その理由をプレスリリースで、当財団を含む複数の大株主が議決に賛成する見込みだから、と説明している。ただ、私たちへの意思確認などは一切ない。自己都合的な判断を勝手に公表するのは、株主軽視だ。一般株主が応募の是非を考える際、誤認を与えてしまうため、このタイミングでの意見表明となった。

2月に臨時の理事会、評議会を開き、ほぼ全会一致(棄権1票以外はすべて賛成)で買収への反対を決めた。利害関係者に当たる役員や評議員となる牧野フライスの宮崎正太郎社長ら3人は採決から除いた。金融庁や経済産業省にも結果を届け出た。

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