ニデックが牧野フライスに予告しているTOB開始日は4月4日。その期日を目前に両社の攻防は新たな展開を見せようとしている。

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3月31日 ニデックの「牧野フライスTOB」、専門家はこう見る
「買収防衛策ではない。あくまでも時間を確保するための措置だ」
牧野フライス製作所が3月19日の午後6時に開いたオンライン会見。同社のリーガルアドバイザーを務める太田洋弁護士(西村あさひ法律事務所)はそう繰り返した。ニデックが4月4日に始めると予告しているTOB(株式公開買い付け)への「対抗策」発表に伴う発言だった。
牧野フライスはニデックから完全子会社化を前提としたTOBの提案を受けている。ニデックは牧野フライスの賛同が得られなくてもTOBを行うと表明する一方、理解を得るよう努力するともしている。
ただ提案したのは年末の仕事納めに当たる2024年12月27日。しかも事前の接触が一切ない「奇襲」だった。牧野フライス側は猛反発し、「検討の時間が短すぎる」として、計4回にわたりTOB開始の延期を要請してきた。直近では、3月19日の午後4時45分までに延期の可否を明らかにするよう求めていた。
ところが、同日に公表されたニデックの返答は「真摯に検討を重ねているが、応じるか否かの決定に至っていない」というもの。これを受けて、牧野フライス側は急きょ、冒頭の会見を開いたというわけだ。その真意とは何なのか。
「ポイズンピル」ではなく「対抗策」
対抗策の概要はこうだ。ニデックが5月9日以降にTOB開始を延期しなかった場合、牧野フライスの特別委員会が6月下旬に予定される定時株主総会へ対抗策の発動を答申。過半数以上の株主から賛成を得られれば、所有する株式数に応じて、全株主に新株予約権を無償で割り当てる。
ただし、「予約権行使後の保有割合が20%を下回る範囲でのみ行使可能」という条件をニデックにのみ適用する。
定時株主総会で議決権を行使できるのは、3月末時点での株主。ニデックが4月4日にTOBを強行し、買い付け下限の50%以上を取得しても、同社単体で対抗策の発動は止められない。対抗策が発動すれば、ニデックの持ち分は大幅に下がり、完全子会社化は難しくなる。
なお、ニデックがTOB開始の延期を表明したり、ほかの提案者からより有利な競合提案を受けたりした場合は、対抗策を即時に撤廃する。
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