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〈迫る4月4日〉牧野フライスが「ニデックTOB」に対抗策、時間稼ぎで待つのは「ホワイトナイト」か

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ニデックが牧野フライスに予告しているTOB開始日は4月4日。その期日を目前に両社の攻防は新たな展開を見せようとしている。

牧野フライスのリーガルアドバイザーは太田洋弁護士
牧野フライスのリーガルアドバイザーを務める太田洋弁護士(右)は、アクティビスト対応や「同意なき買収」に関する助言などで豊富な実績を持つ(左写真:尾形文繁撮影、右写真:梅谷秀司撮影)

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「事前交渉なし」で「同意なき買収」も辞さず――。モーター世界大手のニデックが大手工作機械メーカーの牧野フライス製作所に2024年末に行った買収提案。激しさを増している両社の攻防を逐次リポートしていく。
【今後の配信予定】
3月31日 ニデックの「牧野フライスTOB」、専門家はこう見る

「買収防衛策ではない。あくまでも時間を確保するための措置だ」

牧野フライス製作所が3月19日の午後6時に開いたオンライン会見。同社のリーガルアドバイザーを務める太田洋弁護士(西村あさひ法律事務所)はそう繰り返した。ニデックが4月4日に始めると予告しているTOB(株式公開買い付け)への「対抗策」発表に伴う発言だった。

牧野フライスはニデックから完全子会社化を前提としたTOBの提案を受けている。ニデックは牧野フライスの賛同が得られなくてもTOBを行うと表明する一方、理解を得るよう努力するともしている。

ただ提案したのは年末の仕事納めに当たる2024年12月27日。しかも事前の接触が一切ない「奇襲」だった。牧野フライス側は猛反発し、「検討の時間が短すぎる」として、計4回にわたりTOB開始の延期を要請してきた。直近では、3月19日の午後4時45分までに延期の可否を明らかにするよう求めていた。

ところが、同日に公表されたニデックの返答は「真摯に検討を重ねているが、応じるか否かの決定に至っていない」というもの。これを受けて、牧野フライス側は急きょ、冒頭の会見を開いたというわけだ。その真意とは何なのか。

「ポイズンピル」ではなく「対抗策」

対抗策の概要はこうだ。ニデックが5月9日以降にTOB開始を延期しなかった場合、牧野フライスの特別委員会が6月下旬に予定される定時株主総会へ対抗策の発動を答申。過半数以上の株主から賛成を得られれば、所有する株式数に応じて、全株主に新株予約権を無償で割り当てる。

ただし、「予約権行使後の保有割合が20%を下回る範囲でのみ行使可能」という条件をニデックにのみ適用する。

定時株主総会で議決権を行使できるのは、3月末時点での株主。ニデックが4月4日にTOBを強行し、買い付け下限の50%以上を取得しても、同社単体で対抗策の発動は止められない。対抗策が発動すれば、ニデックの持ち分は大幅に下がり、完全子会社化は難しくなる。

なお、ニデックがTOB開始の延期を表明したり、ほかの提案者からより有利な競合提案を受けたりした場合は、対抗策を即時に撤廃する。

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