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「今は待っている状態。最終提案を間に合わせていただけると確信している」
牧野フライス製作所の宮崎正太郎社長は4月16日、都内で報道陣の取材に応じた。ニデックが同社へ実施中のTOB(株式公開買い付け)について、終了予定日の5月21日までに対抗提案、すなわちホワイトナイトが現れるとの見方を示した形だ。
これに先立つ4月10日、牧野フライスはTOBへの反対意見を表明。その最たる理由が、競合提案の具体化や比較検討に必要な時間が足りない、というものだ。同社は2月末頃に複数の第三者から初期的な買収の意向提案を受けている。
いずれも投資ファンドによるものとみられ、デューデリジェンス(価値やリスクの調査)の最中という。この作業には通常2~3カ月ほどかかるため、牧野フライスはTOBを5月9日からに延期するよう4回にわたりニデックへ要請。だが受け入れられず、当初予定どおり4月4日に“強行”された。
今回の「敵対的TOB」はどのような結末を迎えるのか。事態は泥沼化の様相を呈してきた。
対抗策めぐり法廷闘争に
ニデックのTOB開始に際して、牧野フライスは対抗策の発動を決定。6月後半に開催予定の定時株主総会で過半数の賛同を得られれば、全株主に新株予約権を交付する。ニデックの持ち分は大幅に希釈され、完全子会社化が困難となる。
牧野フライスは「あくまでも競合提案が出るまでの時間を稼ぐための措置」と強調し、必要がなくなった場合は速やかに対抗策を撤廃する方針だ。具体的には、ホワイトナイトが実際に出てくるか、ニデックがTOBをいったん取り下げ、5月9日以降に改めて始めた場合などが当てはまる。
ニデックは「時間の確保は建前。TOBの阻止が真意だ」(4月17日付の開示資料)と主張。対抗策を差し止めるため、仮処分命令を東京地裁へ申し立てた。法廷闘争となったが、TOBが終わる前に結論が出なければ意味がない。牧野フライスの関係者は「早ければ4月末には地裁の決定が出るのでは」とみる。
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