企業の買収防衛策やM&Aに詳しい専門家の目に、ニデックと牧野フライスの攻防戦はどう映っているのか。

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鈴木賢一郎・IBコンサルティング社長
「ニデックは結実しなくても気にしない」
ニデックが4月4日にTOB開始を強行すれば、訴訟に発展する可能性がある。牧野フライスは「1カ月だけ待ってほしい」と言っているだけで、無茶な要求ではない。対抗策発動には株主総会で決議を取るとも言っている。敗訴のリスクを考慮すれば、延期に応じる可能性は高いのではないか。
問題はその後だ。投資ファンドが競合提案を発表し、牧野フライスのホワイトナイトになったとしても、ストラテジックバイヤー(事業戦略上の買い手)であるニデックより高値をつけられるのだろうか。ファンドがストラテジックバイヤーに勝つのは理論上難しい。
価格競争にならない可能性
買収価格の算出に当たり、ニデックは自社とのシナジー効果を上乗せして牧野フライスの企業価値を考えられる。一方、ファンドが企業価値算出のベースとするのは牧野フライス単体の業績や将来性だ。ファンドなので転売や再上場によって一定期間内に利益を確保する必要もある。

昨年、ローランド ディー. ジー.(DG)が投資ファンドのタイヨウ・パシフィック・パートナーズと組んだMBO(経営陣による買収)を行った際、ブラザー工業が「対抗TOB」を表明した。
ブラザーが買収案を取り下げ、MBOは成立したが、タイヨウはそもそもローランドDGの大株主だった。ブラザーより高い発射台からスタートした点で有利だった。今回のようにゼロベースでやるなら、どうなるのだろうか。
ニデックとしても、TOB価格での極端な競争には応じないだろう。適正価格以上は出さないと明言しているし、グローバルグループ代表の永守重信氏は心の中で上限を定めているはず。それに今回の買収が実らなかったとしても、そんなに気にしないと思う。
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