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オムロンに300億円出資したカーライル出身社長の「ファンド流」経営改革、苦境の制御機器事業に対する特効薬となるか

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株価の停滞が続いていたオムロン、ファンドの力を借りて復活できるか(編集部撮影)

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「制御機器事業を立て直さないと、オムロンの株価は過去水準まで簡単に戻らない」

国内株ファンド、ジャパン・アクティベーション・キャピタル(JAC)代表の大塚博行氏は先月、東洋経済の取材にそう語った。JACは収益柱の不振にあえぐオムロンへ約300億円の出資を今年7月に表明していた。

この一報に株式市場も反応。業績改善への期待感からオムロン株には買いが入り、出資表明から2日間で株価を500円以上押し上げた。2年前に9000円を超えて以降、下落が続いていた株価に歯止めがかかった形で、現在も4000円台で推移している。

体温計や血圧計など、医療機器のイメージが強いオムロン。だが、実際の中核は売上高の4割以上、営業利益の6割強(2024年度)を占める「制御機器事業」だ。24年3月期にはこの制御機器事業の業績が大幅に悪化。全社の営業利益が前期比で65%も低下するなど、苦境に立たされた。

オムロンとJACが連名で発表したリリースによれば、「オムロンはJACの保有するリソース、ノウハウ、ネットワーク等を最大限に活用し、さらなる成長と企業価値の向上を目指してまいります」という。制御機器事業への支援を中心に、組織強化なども含め取り組んでいくもようだ。

JACやオムロンは出資の詳細について明らかにしていないが、出資総額や株価などから試算すると、オムロンの発行済み株式の約3.8%をJACが握ることになる。不調のオムロンにここまでの巨額を投じ、経営支援に乗り出す理由は何か。

FA業界では競合に見劣り

製造業の工場ライン向けセンサーやロボットを取り扱う制御機器事業。そもそも、オムロンは主力の制御機器事業で競合他社に劣後する状況が続いていた。

並べて取り上げられることが多いのはキーエンスだ。直近の3年間でキーエンスの株価が4%上昇したのに対し、オムロンは36%も下落している。PBR(株価純資産倍率)も1倍付近に留まるなど、市場からの評価が芳しくないのが現状だ。

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