──日本株が歴史的な高値を迎えた中で新ファンドを立ち上げます。ファンドによる投資を通じて目指していることは何ですか。
変革の意思があるにもかかわらず、行動が伴っていない上場企業は少なくない。そういう企業を後押ししたい。
テクノロジーや人材、資金力では日本企業とアメリカ企業に差はない。カーライルで20年弱を過ごしてそう感じた。では何で差が生じているかというと、経営の実行力やスピード感だ。
この差によって日本企業は収益性などで劣勢となっている。売り上げがどのくらい伸びていきそうか、事業がどう変わっていっているのかなど、その企業の将来に対する期待感も乏しくなる。そうすると企業価値や株式価値の評価で用いられるマルチプルも低くなる。
準大手は低マルチプルのまま
──マルチプルとは、PER(株価収益率)や、企業価値が利払い前・税引き前・償却前利益の何倍かを示すEV/EBITDA倍率などですね。
株価を形成する要素には企業利益とマルチプルがある。足元の日本株上昇を牽引したのは、半導体関連と時価総額2兆円以上の超大手企業。その超大手では企業利益に加え、世界の投資マネーが日本に集まったことを受けてマルチプルも伸びている。
一方で、私たちが投資する可能性のある時価総額2000億~2兆円の準大手は、企業利益を増やしたがマルチプルは伸びていない。東証プライム市場で準大手の占める比率は時価総額、売上高ともに30%前後。それらが変わればインパクトは大きい。
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