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「50年前比で10倍」の日経平均にバブル懸念は早計 KKRジャパン斉藤会長「最高値の更新は当然」

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斉藤惇氏
斉藤惇氏は日本の経済や企業の変化が日経平均の最高値更新に表れたとみる(撮影:尾形文繁)

特集「34年ぶり株高の「意義」」の他の記事を読む

 2月22日、日経平均株価の終値は3万9098円となり、平成バブル期の1989年12月29日につけた3万8915円を超えた。実に約34年ぶりの史上最高値更新となった。日本経済は「失われた30年」を本当に脱したのか、それとも新たなバブルでしかないのか。早速見方が割れている。
 野村証券副社長や産業再生機構社長、日本取引所グループCEOなどを歴任した斉藤惇氏(84)はどう考えているのか。斉藤氏は現在、アメリカの投資ファンドであるコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の日本法人会長を務めている。

※この記事は2月28日6:00まで無料でお読みいただけます。それ以降は有料会員向けとなります。

──日経平均が34年ぶりの最高値更新。どう受け止めましたか。

当然といえば当然。それほどエキサイティングなこととは思っていない。この50年でアメリカの平均株価(ダウ)は約60倍になった。日本は一度ずっこけたので約10倍。年金基金が50年で10倍になる株で運用しても、そこで得られるリターンでは年金を十分に給付することができない。

テレビなどでは識者が「バブルだ」とおっしゃるが、それは違う。今回は実がある。1989年のときは空っぽだった。その真ん中にいたのでわかる。今はようやく実が固まってきつつある。

地政学の状況は最悪で、アメリカ大統領選挙など非常にセンシティブな問題もある。しかし、経済構造がまともになった。物価が上がり金利がついて賃金も上がる。コスト上昇分を商品に転嫁できるようになり、消費者もそれを受け入れている。そして何よりも企業や経営者が変わった。

日経平均とNYダウの上昇度

数字を基に会話できる経営者が増えた

──何が変わったのでしょう。

コーポレートガバナンス・コード(上場企業が行う企業統治において参照すべき原則・指針)が定められて約9年。ガバナンス改革をやってきた企業は大きく変わった。日立製作所、東京エレクトロン、ソニーグループ、味の素などがそうだ。

改革の過程で経営者が資本や負債のコストを意識するようになった。持ち合いの解消や利益を生まない子会社の売却などが進んだ。「東証がうるさいからとりあえず形だけ整えろ」というようなダメな企業はまだまだいっぱいあるが、前向きに取り組んでいる企業、経営者が現れた。

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