〈インタビュー〉トプコン社長「アクティビストを追い出すためにMBOを決めたわけではない」

――なぜMBOを決断したのでしょうか。
今の株式市場では短期的なリターンを求められる。長期的な戦略とは両立できないのが課題だった。
われわれの事業はアイケア(眼科検査装置)とポジショニング(測量・計測機器)の2つ。
アイケアは先行投資を続けた結果、2024年度からそこそこ花開き始めているとはいえ、まだ投資が必要だ。ポジショニングは長年トプコンを引っ張ってきた事業だが、この2年ほどは市況が悪化しており、新たな戦略が求められている。
いくつかのファンドから提案を受ける中で、理念に共感するパートナーを選んだ。MBOを選択するのは、私が(非公開化後も株主として残りつつ)社長として経営をリードし、社員に安心感を与えるためだ。
官民の2ファンドがスポンサーに
――スポンサーとして、KKRとJICを選定した理由は。
当初はKKRのほか、欧州と日本のファンドの計3社が候補に挙がっていた。KKRに決めたのは、投資経験が豊富で、(トプコンが進出している)アメリカ市場に強みがあるからだ。現地でのアイケア事業の販売チャネル拡大も期待できる。当社のこともよく研究されているとの印象を受けた。

パートナーにはJICも選定した。(官民連携のMBOは)ほとんど例がないのではないか。
JICは日本最大のファンドであるうえ、日本政府がバックアップしている。また、当社の宇宙・防衛事業は外為法上のコア業種の指定を受けており、経済安全保障のパートナーにもなれる。
――2023年にバリューアクト、2024年にオアシスがトプコン株を取得しています。アクティビストの存在は、MBOの意思決定に影響を与えましたか。
まったくなかったと言えばウソになる。投資家との対話を継続する中で示唆はいただいており、その中で投資ファンドとの会話も出てきた。バリューアクトからは、会社経営について複数回アドバイスもいただいた。ただ、アクティビストを追い出すためにMBOを決めたわけではない。
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