2000ページ以上あるにもかかわらずコンパクトな『会社四季報』を実現する、極薄かつ裏写りの少ない紙。ツルツルとして美しく、写真や図表を色よく表現する『週刊東洋経済』の紙。サクサクと軽いめくり心地で銘柄研究をはかどらせる『会社四季報プロ500』の紙――。日常の読書体験を支えているのが、日本の製紙会社が高い技術力でもって提供する、こだわりの紙だ。
だが、デジタル化やペーパーレス化の進展で、紙需要の縮小が止まらない。情報産業の基盤は、紙からインターネットに移行した。新聞や雑誌の発行部数は急減、本離れも進む。新聞用紙や書籍向けの情報用紙、コピー紙などのグラフィック用紙の国内需要は過去20年間で半分以下にまで激減した。
紙需要の主役は「段ボール」に
一方で、底堅い需要を維持しているのが段ボールの原料となる段ボール原紙だ。物の輸送に不可欠な生活インフラのため、過去20年の需要変化はほぼない。今や国内の紙需要の4割を占める「業界の主役」に躍り出た。

需要構成の変化とともに、業界内序列も変わった。業界の国内2強は王子ホールディングス(HD)と日本製紙だ。両社はグラフィック用紙から段ボール原紙、食品パッケージ、ティッシュペーパーなどの衛生用紙まで手がける、総合製紙会社である。
そもそも紙製品は、グラフィック用紙や衛生用紙のような薄くて軟らかい「紙」と、段ボール原紙や食品パッケージのような、厚みがあって硬い「板紙」に大別される。王子HDは早くから板紙分野の育成に舵を切り、板紙で国内首位。それに対して日本製紙は紙の構成比率が高い。
底堅い需要を維持する段ボール原紙など板紙に注力してきた王子HDの2025年度の売上高は1兆8617億円と、2番手の日本製紙(同1兆1926億円)を突き放す。総合製紙2強に次いで段ボール専業のレンゴーが同1兆円と急成長し、日本製紙に迫る勢いだ。「エリエール」ブランドを擁し、衛生用紙で国内首位に立つ大王製紙は同6667億円だ。
市場の評価は冷徹だ。
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