日本製紙のアメリカ子会社、日本ダイナウェーブパッケージング(NDP社)で2026年5月に発生した薬品タンクの倒壊事故について、現地では損害賠償訴訟や環境訴訟に向けて弁護士が動き出している。事故は11名が死亡、8名が負傷するという惨事で、その背景としてNDP社の管理体制に問題があったとみられている。
8月28日、化学物質の絡んだ事故やリスクについて調査するアメリカの公的機関である化学物質安全調査委員会(CSB)が事故についての最初の調査報告を公表した。報告書では、事故を事前に防ぐ機会が幾度もありながら警告を無視し続けた、NDP社のずさんな安全管理体制が明らかにされた。
「使用に適さない」との検査機関の警告を無視
CSBによる報告書の内容は以下のようなものだ。まず事故の約10ヶ月前(25年7月)、検査機関が事故で倒壊した白液用のタンクを検査した際、タンクの大部分が、安全を維持するために必要な「最低限の厚さ」を下回るまで薄くなっていることが判明していた。
その際の検査報告書には、「補修を行わない限り、継続使用に適さない」、さらには「破損する可能性が極めて高い」と明記されていた。しかし、NDP社はタンクの修理も一時停止も行わず、稼働を続けた。同社は25年10月と26年2月にも検査を行い、タンク壁が薄くなっていることについて繰り返し確認していたが、タンクの内部検査、修理、稼働停止、または運転条件の低減といった措置を講じなかった。
そして事故当日、プロセス上のトラブルから、一時的にタンクの充填率が90%にまで上昇。強度の限界を迎えたタンクが破裂した。高温で腐食性の高い白液が周囲にあふれ出し、それが朝礼などで集まっていた従業員たちを直撃した。
CSBは今後、タンクが稼働状態のまま放置された経緯を解明する予定だ。
労災補償法の壁と、弁護士が狙う「例外規定」
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