ただ、こうした潮流は今、転換点を迎えている。市場規模がウクライナ戦争や台湾有事への懸念を背景に拡大に転じたからだ。需要超過となった欧米の防衛産業は、生産基盤の拡大を急いでいる。

変化はそれだけではない。防衛生産基盤のあり方自体が大きく変わりつつある。性能向上に巨額を要していたトレンドが、ウクライナ戦争におけるドローンに象徴されるように、低単価製品の量産へとシフトしているのだ。これにより、スタートアップなど従来の業界外からの参入が見られるようになってきた。開発費に比して量産を期待しにくいという業界の特殊性の解消が視野に入ってきたといえる。
もっとも、ミサイルや戦闘機など、巨額の開発費を要する製品が多くを占める構図は依然として残っている。それでも、アメリカの新興防衛企業アンドゥリルが比較的安価なミサイルやドローン開発を目指すなど変化の兆しは間違いなく出てきている。
日本の防衛産業を取り巻く環境の激変
世界的な変化は日本の防衛産業にも変容をもたらしつつある。
そもそも日本の防衛産業は冷戦後、苦しい低成長の道をたどった。国内の政策的事情により武器輸出が抑制され、企業は民生部門に大きく依存する事業構造を採るしかなかった。売り上げの伸びは期待できないものの一定の安定性はある、という微妙なバランスの下、企業内の1部門としての防衛産業が確立された。原価に一定の利益を付加する防衛調達の契約方式も、産業構造の固定化に寄与してきた。その後、こうしたバランスすらも、2010年代にアメリカなどからの高性能の輸入装備品の割合が急増したことで揺らぎ、事業撤退する企業も現れた。
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