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8月、米スタンフォード大学などの研究チームが、世界を驚かせる研究成果を米科学誌サイエンスで発表した(該当の論文)。AI(人工知能)を使って細菌に感染する小型のウイルスのゲノム(全遺伝情報)を大量に生成し、それを実験室で合成して、一部が実際に機能することを確かめたというのだ。
これらのゲノムは、あらかじめAIに学習させた天然のウイルスのゲノムとは異なる配列や構造を持っていた。
使われたAIは、天然のゲノムを大量に学習させた、いわばゲノム版の大規模言語モデルだ。これまでも遺伝子などゲノムの「部品」にあたる部分の設計に使われてきたが、機能するゲノムを丸ごと生成できたのは初めて。生物学にパラダイムシフトをもたらしうる成果といえる。
研究を主導したのは、スタンフォード大学大学院の博士課程に在籍するサミュエル・キングさん。日本人の母とアメリカ人の父を持つ、27歳の俊英だ。
今回の成果は、医療をはじめ幅広い応用が期待される一方、生物兵器の開発などへの悪用も懸念されている。キングさん、さらに合成生物学やバイオセキュリティの専門家へのインタビューを通して、AIによるゲノム設計の光と影について考える。
生成したゲノム302個のうち16個が機能
まずは、今回の研究成果の内容をもう少し具体的に押さえておきたい。
生物やウイルスの設計図は、4種類の塩基という物質が連なったDNA(デオキシリボ核酸)の塩基配列に、遺伝暗号として書き込まれている。ゲノムとはその塩基配列全体のことだ。
研究チームは2024年11月に、深層学習技術を用いて膨大なゲノム配列を解釈し、新たな配列を生成できるようにしたAIモデル「Evo(イーヴォ)1」の開発をサイエンス誌で報告した。26年3月には英科学誌ネイチャーで、後継モデル「Evo 2」を発表している。
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