なぜ日産「キックス」は販売不振に陥ったのか? フルモデルチェンジ直前のいま「現行型」を統括する

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フルモデルチェンジが近い日産「キックス」を改めて検証した(筆者撮影)

日産「キックス」が、来年早々にフルモデルチェンジをするようだ。

キックスは、トヨタ「ヤリス クロス」やホンダ「ヴェゼル」などをライバルとするコンパクトSUVで、日産にとっては「ノート」と「エクストレイル」の中間に位置する大事なモデル。

2020年の国内デビューから現在までに、キックスが果たしてきた役割や販売実績を振り返ってみたい。

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「ジューク」の後継として誕生

日産キックスは、全長約4.3mのコンパクトSUVで、シリーズハイブリッドの「e-POWER」を搭載して、2020年6月に発売された。

キックスという名称は、2008年に発売された三菱「パジェロミニ」のOEMモデルにも用いられていたが、こちらは軽自動車4WDであり、綴りは「KIX」。今回、取り上げるキックスは「KICKS」と表記されるブランニューモデルだ。

驚くべきは、そのキックスが日産として10年ぶりのブランニューモデルだったということ。日産はキックスの前、10年にわたって新型車を日本に導入していなかったのだ。

“空白の10年”の前に導入された最後の1台が、キックスの前任となる、コンパクトSUVの「ジューク」であった。2010年6月のことである。

ターボエンジン車やNISMOモデルなども展開された「ジューク」(写真:日産自動車)

ジュークはスポーティなイメージのSUVで、クーペ風のスタイルと、ヘッドライトをバンパー内に収めた斬新なルックスで話題を集めた。

ただし、ジュークの販売は、発売翌年である2011年の3万4000台をピークに徐々に減ってゆき、2015年以降は年間1万台を下回った。正直、成功したとはいいがたい数字だ。

そうした、ジュークの反省もあったのだろう。日産は後継として、ジュークよりもスクエアなフォルムで広い室内空間と荷室を持つ、実用的なキックスを日本に導入した。

「日本に導入」としたのは、先にICE車(エンジン車)がグローバルで発売されていたモデルだから。2020年にタイでe-POWER仕様が登場して、それが日本へ導入されることになったのだ。

「キックス」の発表会では「このままで、終われるか。」のキャッチコピーが強調された(写真:日産自動車)

そんなキックスの次期型についての話が、今年7月に行われた追浜工場の車両生産終了にともなう記者会見で出た。

2026年初頭に追浜工場で生産を開始し、その後、九州の工場に移管すると明かされたのだ。つまり、キックスは、来年早々に新型車に切り替わる。

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