なぜ日産「キックス」は販売不振に陥ったのか? フルモデルチェンジ直前のいま「現行型」を統括する
後方を見るルームミラーは、デジタルのインテリジェントミラー(上級グレードに標準)であったし、電動パーキングブレーキやオートブレーキホールド、アラウンドビューモニターなども装備されている。Bセグメントとは思えない充実した内容だ。
一方で、不満を覚えたのは、高速走行だ。変速機のないe-POWERはスムーズな一方で、変速機のキックダウンがないためパンチに欠け、追い越し加速などは一息待つ必要がある。
また、荒れた路面ではシャシーの古さを感じた。さらに日産オリジナル・ナビゲーションが、Apple CarPlayやAndroid Autoに非対応であったのも残念だった。
とはいえ、街中での普段使いが中心なら、そうした不満はそれほど感じないのかもしれない。総じて見れば、日産の狙い通りの便利で使いやすいSUVだといえるだろう。
コンパクトSUVという人気ジャンルの中にあって
ここからは販売上の総括をしていこう。
デビュー年となる2020年は、6月から約半年間の販売で1万8326台。年間販売ランキング(登録車)では36位だった。
ジュークの終盤は年間1万台にも届いていないことを考えれば、まずまずの成績だろう。
翌2021年の販売台数は3万5044台で、ランキング20位。これはジュークの最高値を上回る台数で、成功といえるだろう。
しかし、2022年は1万8697台で28位に落ち、2023年は1万5778台で36位、2024年は1万4346台で37位と、徐々に販売台数は低下。2025年上半期は5563台で45位と、さらに順位を落としている。
ちなみにジュークは、デビュー翌年の2011年が3万4224台、2012年が3万3648台、2013年が2万0382台、2014年が1万4444台で、その先が1万を切っていくという成績であった。
ジュークのほうが粘り強かったともいるが、キックスとジュークの販売状況にそれほど大きな差はなく、失敗作とはいえないかもしれない。
しかし、もう少し引いて考えてみると、物足りない数字だといえる。なんといってもBセグメントSUVは、人気ジャンルなのだ。


















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