オリンパス改革は最終章「世界2000人削減」で描く針路→新CEO体制で真の"メドテック企業"へ脱皮できるのか、残された重い課題
「複雑で官僚的になりすぎた組織構造を、よりシンプルに合理化する」
オリンパスのボブ・ホワイト社長兼CEOは11月、新たな経営戦略を発表するとともに力強く語った。
今年6月にホワイト氏が新CEOに就任してから5カ月余り――。経営戦略と併せて発表したのは、全従業員の7%に相当するグローバルで約2000人の人員削減だった。
消化器内視鏡で世界シェア首位を誇るオリンパスは、医療機器専業の「グローバルメドテック」へと転身しつつある。アメリカでの関税引き上げの影響や中国市場の鈍化といった逆風下でも、足元の業績は堅調だ。それでもリストラに踏み切る背景には構造的な課題が横たわる。
不祥事から始まった長い再建の道のり
オリンパスの経営改革は、2011年に発覚した巨額損失隠し問題に端を発する。不祥事を受けて経営陣は刷新され、ガバナンス改革を迫られた。12年には従業員の約7%に当たる2700人の削減を発表し、生産拠点の再編にも踏み込んだ。
過年度決算の訂正に伴い巨額の赤字を計上したことで、12年には自己資本比率が2.2%まで低下するなど財務基盤の立て直しに追われた。
19年に竹内康雄氏が社長に就任すると、大きな戦略転換へと舵を切る。アクティビスト(物言う株主)ファンドであるバリューアクトから2人を取締役に迎え、企業変革プラン「Transform Olympus」の旗印の下、医療機器に経営資源を集中する方針を明確にしたのだ。
かつての看板事業だった映像(カメラ)事業は21年に、祖業でもあった顕微鏡を含む科学事業も23年に相次いで売却。合算すると売上高1500億円規模の事業を切り離し、ポートフォリオを大胆に転換した。
21年には40歳以上の国内従業員を対象に950人規模の早期退職募集を実施し、国内における販売機能の再編も進めた。事業売却とリストラで人員のスリム化を進めたかに見えたが、実際にはグループの従業員数は大きく減っていない。




















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