日産自動車「国内販売2桁減」にディーラーから上がる悲嘆の声/経営危機が販売悪化に連鎖/待望の新型軽「ルークス」は国内回復の起爆剤になるか

業績不振に苦しんでいる日産自動車。グローバルで新車販売が低迷しているが、とりわけ母国市場の日本で販売台数が下げ止まらない。
9月1日に公表された8月の日産車の国内販売台数(軽自動車含む)は、前年同月比22.2%減の2万5352台。1~8月累計では前年同期比12.7%減の28万0478台といずれも2桁減となった(日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会)。
昨年10月から11カ月連続で前年同月を下回っており、とくに今年2月以降から落ち込みが大きくなっている。

主力車種の販売も苦戦が目立つ。
個別車種の販売実績が開示されている1~7月で見てみると、日産で最も売れているコンパクトカー「ノート」が前年同期比1万0725台減の5万1132台。ミニバン「セレナ」が同2454台減の4万5322台、SUV(多目的スポーツ車)の「エクストレイル」が同8855台減の1万2474台と軒並み数字を落としている。
相次ぐ悪いニュースが影響
おひざ元の神奈川県内の販売店で話を聞くと、「この半年間ほどで、お客様の日産ブランドへの信頼が下がっていると感じる」とこぼす。同店舗では、とくに春先から新規の来店客数の足が減っている。
ホンダとの経営統合破談、6709億円の最終赤字決算、県内工場の生産終了など、日産に関する悪いニュースが相次いでいることが影響しているのではないかという。「既存のお客様が支えてくれているが、コロナ禍以来の厳しい状況だ」(同営業担当者)と肩を落とす。
もう1つ、新規顧客を呼び込めない主要因が新車・新型車の不足だ。
日産は、2022年6月に軽EV「サクラ」を発売、同7月にエクストレイル、12月にセレナをフルモデルチェンジした。ただ、それ以降は国内に新車や新型車を投入できていない。大型ミニバン「エルグランド」に至っては最後のフルモデルチェンジが2010年だった。
新車の開発は一般的に5~6年かかる。「現在、日産がモデル不足に陥った責任の一端は、4月に社長に就いた(イヴァン・)エスピノーサ氏にある」と、日産の元幹部は指摘する。エスピノーサ氏は社長就任の直前まで商品企画を統括するポジションにいたためだ。
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