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マクロン仏大統領の「これからは核兵器の時代」発言の裏側、核軍縮から増強への方針転換と欧州の安全保障戦略

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2026年3月2日、フランス西部ロング島の海軍基地を訪問、核戦略の転換を発表したマクロン大統領(写真:AFP=時事)

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フランスのマクロン大統領は2026年3月2日、仏西部ロング島の海軍基地で演説し、アメリカとイスラエルがイランへの攻撃を継続する中、「これから半世紀は核兵器の時代になる」との認識を示し、同国の核戦略の転換を表明した。

1960年2月にアルジェリアのサハラ砂漠で初の各実験を成功させたフランスは、米ソ英に次ぐ世界で4番目の核保有国となった。一方で、冷戦末期の約540発の核弾頭保有をピークに、近年は約290発まで減らしていた。

フランスが核戦略を転換した根拠

今回、同大統領は、北大西洋条約機構(NATO)へのアメリカの関与が削減され、とくにウクライナ支援の主要支援国が欧州に移りつつある中、イギリス、ドイツ、ポーランド、オランダ、ベルギー、ギリシャ、スウェーデン、デンマークの計8カ国が、フランスが提案する核抑止力の提案に合意したことを受けたものだ。核弾頭を増やすことと核兵器を搭載したフランス軍機を国外に展開する構想を示した形だ。

フランスはイギリスと並ぶ欧州の核兵器保有国であり、自国の軍事力による自主防衛を柱として核兵器を保有してきた。それゆえに、核抑止力を強化する方向に向かうのは自然な流れと言える。それも核兵器を持たない欧州の近隣諸国がフランスの核の傘の下に入る抑止戦略に合意したことは大きな転換点と言える。

マクロン大統領は「自由であるためには、(敵対勢力から)恐れられる必要がある」と強調した。26年2月に、米ソ間で互いの核戦力を制限する条約として、唯一残っていた新戦略兵器削減条約(新START)が失効するなど、世界では核軍縮に逆行する動きが相次いでいる。マクロン大統領は核兵器による抑止力効果は重要さを増しているとの認識だ。

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