なぜ日産「キックス」は販売不振に陥ったのか? フルモデルチェンジ直前のいま「現行型」を統括する
キックスの特徴や商品性について、もう少し深掘りしよう。
先にも説明したように、キックスの特徴は実用性の高さにある。オーソドックスでスクエアなSUVフォルムは、広い室内空間と荷室を実現しており、423リットルのラゲッジ容量はクラストップ。
それでいて、17インチのホイール&タイヤで5.1mというクラス最小の最小回転半径を誇る。室内が広いのに、小回りが利く。これは大きな魅力だ。
また、日産独自のハイブリッドである、e-POWER専用車であることも特徴だ。純エンジン車が存在せず、すべてがハイブリッドであることは、先進性があって環境に優しいという良いイメージを生む。
日産得意の先進運転支援システム「プロパイロット」も標準装備とした。ハンズオフ(手放し運転)まではできないが、車線維持機能を持つACC(全車速追従機能)を搭載した。高速道路のロングドライブが多い人にとって、うれしい機能だ。
また、デビュー当時はFFモデルのみであったが、2022年のマイナーチェンジで4WDを追加している。降雪エリアのユーザーには、待望のラインナップである。
明確にある「キックス」の良し悪し
今回、振り返るにあたりキックスの4WDモデルを借り出して、ロングドライブに出かけてみた。
高速道路を中心に3日間で1000kmほどを走破。キックスの良し悪しが見えたので紹介したい。
良かったのは、室内と荷室の広さだ。余裕のある荷室は、やはり便利だ。e-POWERの滑らかで力強い加速も素晴らしい。
発電に徹する1.2リッターエンジンの音と振動は巧みに隠されており、騒音は非常に小さい。モーターは出力こそ100kW(136PS)とほどほどだが、トルクが280Nmもある。街中では、1クラスも2クラスも上のトルクが、余裕の走りを見せつけてくれた。
ハンドリングと乗り心地もまずまず。適度な重さのステアリングは、クイックすぎず信頼感がある。日産らしい、安心感のあるハンドリングだ。
4WDかつハイブリッド用の重いバッテリーを積むゆえの低重心さも、安心感を高めてくれた。ドッシリとした重厚感があるといってもいい。装備の充実度にも感心した。


















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