営業利益5兆円超えトヨタ、減益予想で示す覚悟 EV・AI・ソフトウェアに1.7兆円投じ変革を加速

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トヨタ自動車の2024年3月期は営業利益が5兆円を突破するなど絶好調の数字が並んだ(写真:トヨタ自動車)

向かうところ敵なしの様相になった。

トヨタ自動車が5月8日に発表した2024年3月期決算は売上高に当たる営業収益が前期比21%増の45兆0953億円、本業の儲けを示す営業利益は同96%増の5兆3529億円だった。いずれも過去最高で、営業利益は日本企業でも前人未到の数字となる。

トヨタ・レクサスブランドの販売台数は同7.3%増の1030万台と過去最高となった。ダイハツ工業や豊田自動織機の出荷停止影響があった日本を除き、すべての地域で販売台数が増加。子会社のダイハツと日野自動車を含めたグループ総販売台数は同5%増の1109万台と初の1100万台超えとなった。

「長年のたゆまぬ商品を軸とした経営と、積み上げてきた事業基盤が実を結んだ結果だ」。佐藤恒治社長はこう評価する。

今回際だったのが稼ぐ力の強さだ。営業利益率は11.9%に達した。自動車業界では8%が高水準とされるが、フォルクスワーゲン(7.0%)やテスラ(9.2%)といったライバルにも差をつけた格好となる。

高価格車種が好調、値上げも寄与

世界的に人気が高いSUV(スポーツ多目的車)を数多くラインナップしグローバルに投入。「クラウン」や「レクサス」といった好採算の高価格車種の販売が増えた。北米や欧州を中心とした値上げによって大幅に採算が改善したことも貢献した。

トヨタによるとこうした「営業面の努力」による利益押し上げ効果は2兆円あった。円安による増益効果が6850億円あったことも追い風となった。トヨタ幹部は「新年度に入っても『造れば売れる』状況が続いている」と手応えを語る。

電動車戦略の柱に位置づける「プリウス」などHV(ハイブリッド車)の販売が絶好調なこともトヨタにとっては大きい。欧州や北米ではEV(電気自動車)市場の拡大ペースが鈍化。実用性に優れるHVの人気が拡がっている。“本家”であるトヨタのHV販売は北米や中国、日本といった主力市場で増加し、2024年3月期は前期比32%増、過去最高となる359万台になった。

宮崎洋一副社長はHVについて「メインプレーヤーとして認知されるようになった。乗り心地、加速性能といった点でも魅力ある車になっている」と自信を示す。「北米におけるトヨタの平均在庫日数は15日程度だが、HVでは5~8日しかない」(宮崎副社長)。これはディーラーに入荷されるとすぐに売れる状況だ。

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