中長期でのEVシフトが避けられない中、日本の勝ち残り方とは。
本特集で描いたとおり、世界で急速に進んできたEVシフトが変調を来している。ただし、それは十分に予想されたことでもある。現時点ではEVはエンジン車に及ばない点が多いからだ。
エンジン車は約100年にわたって世界中の市場で磨かれてきた。ハードとして成熟しているだけでなく、ガソリンの精製から輸送、スタンド運営、アフターサービス、さらには税制体系まで、エンジン車を前提にした社会システムが出来上がっている。
片やEVは本格的な市場投入から10年程度であり、ハードとしては発展途上。充電器などインフラの整備も不十分で、多くのユーザーにとって使い勝手は悪い。
EVシフトは避けられない
それでもEV普及が加速したのは政府の強力な後押しがあったからだ。脱炭素という美しい目的だけではなく、各国の産業政策上の思惑があったことも事実。急ぎすぎたEVシフトの負の側面があらわになることで、国や地域によっては反EVの機運が高まるだろう。
ただし、カーボンニュートラル(CN)を目指すなら、中長期でのEVシフトは避けられない。水素や合成燃料、バイオエタノールといった「選択肢」もあるが、技術・コスト・安定調達・インフラなど普及のハードルはEVより高い。そうした選択肢は商用車など一部にとどまる可能性が高い。
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