
ホンダが展開する中国向けのEV「イエ」シリーズ。ホンダのEVは苦戦が続いている(写真:編集部撮影)
2040年に世界で売る新車をすべてEV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)にする「脱エンジン」を掲げていたホンダ。しかし、ここ数年で市場環境は激変。当初もくろんでいた、EVを通じた‟第2の創業”にも黄色信号が灯る。本特集では、もがく業界の異端児の全体像を追う。
「買っていただいたお客様や車に詳しい方にはたいへん評価されている。ただ、当初期待した受注には届いていない」
2025年4月の上海モーターショー。ホンダの五十嵐雅行・中国本部長は、今年発売したばかりの新型EV(電気自動車)「S7」と「P7」の手応えについて問われ、厳しい表情でそう答えた。
S7とP7はホンダの中国向けEV「イエ」シリーズ第1弾だ。いわゆる兄弟車で、それぞれ東風汽車、広州汽車との合弁会社で生産している。
新たにEV専用プラットフォームを開発し、AI(人工知能)と連動した車載システムも搭載する。EVが自動車市場の主戦場となっている中国に投入する、「ホンダの最新デジタル技術をすべて詰め込んだ自信作」(ホンダ幹部)だった。
しかし、7月までの販売台数はS7が2006台、P7が1738台にとどまる(マークラインズ調べ)。7月単月で見るとS7は18台、P7は263台だ。
計画対比では8〜9割減で推移する。「しゃれにならないレベルで売れてない」とホンダの現地販売関係者はため息を漏らす。
「時すでに遅し」
価格政策も迷走した。
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