
金庫番としてホンダを支える藤村英司最高財務責任者(CFO)。HV(ハイブリッド車)などガソリン車を主軸とした足元での利益創出とEV(電気自動車)やソフトウェアといった将来の種まきの両輪を回す難しい局面にどう対応するのか。財務の視点から戦略を聞いた。
EV事業の赤字は想定以上に大きくなった
――もともとEV事業については当面、赤字想定だったと思いますが、ここまでの赤字拡大は想定外でしたか。
1年半前に想定していた以上に赤字が大きくなったのは事実だ。粗利ベースではトントンくらいで、研究開発費分が赤字になるとは考えていた。販売が伸びず、インセンティブ(販売奨励金)が想定より膨らんで、粗利段階からマイナスになった。
――EV戦略の見直しを進めています。
特に主要な市場であるアメリカでここ数年、新車市場でのEVのシェアは7%くらいの状況が続いており、伸び悩んでいるのは間違いない。さらにバイデン政権からトランプ政権になり、(EVへの)補助金や環境規制がなくなったり、遅れている。従って、それに合わせて変わらざるをえない。
ただし、EVへの挑戦は続ける。だからといって、何が何でもアクセルを踏み続けるというのは経営ではない。重要なのは、キャッシュフローで事業を見ること。PL(損益計算書)だけを気にしていると、挑戦するのは難しくなる。どれだけ稼いで、どれだけ投資に回していけるかは、キャッシュフローでないと見えてこない。
投資家にもキャッシュフローで説明していきたい。
――キャッシュフロー重視は、PLでの赤字の言い訳では?
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