欧米で承認された新薬の7割が日本で使えない訳 「ドラッグロス」日本で承認されない薬が増加

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錠剤とまるとばつの棒
創薬を推進するシステム作りが日本では遅れている(写真:KAKU / PIXTA)
「薬がない」。こんな言葉が医療現場で当たり前のように聞かれるようになって久しい。『週刊東洋経済』の10月10日発売号(10月14日号)は「薬クライシス」を特集。供給不安の深層を製薬メーカーと薬局の両方から浮き彫りにします。
『週刊東洋経済 2023年10/14特大号(薬クライシス)[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

「日本未承認のがんの薬を手がける米国のスタートアップ(ベンチャー企業)の1つに、日本での薬事承認を目指した臨床試験の実施を打診したが、開発自体を拒否された経験がある」

こう話すのは、国立がん研究センター先端医療科の佐藤潤氏だ。佐藤氏らは腫瘍内科医でありながら米国の創薬ベンチャーに直接足を運び、日本での治験実施を呼びかけている。目的は、日本で薬が承認される見込みのないことを指す「ドラッグロス」の解消だ。

欧米で承認された新薬のうち、日本で承認されていない薬の割合は年々増加。2012〜16年の56%から、2016〜20年には72%に上昇した。未承認薬のうち最も多いのはがんの薬で、中でも治療の難しい血液がんの薬が多い。

ドラッグラグは解消に向かいつつある

2010年ごろには、海外大手製薬企業の薬が日本で遅れて承認される「ドラッグラグ」が問題視された。これは、日本の治験環境の整備や審査期間の短縮などによって解消に向かいつつある。

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