実は200を超える自治体に不動産業者が「いない」リアル。空き家対策や地方再生などに影響も。熱海の事例から《不動産業の未来》を考える

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マチモリ不動産が仲介した物件
熱海のマチモリ不動産が仲介した物件のひとつ、坂の上の民家を利用した古着と軽食の店「静電気」。階段の上など不利な立地にある不動産は賃料が安く、不動産業者は扱いたがらないが、こうした個性的な店が増えることでまちは面白くなる(写真:筆者撮影)

あらゆる業界で人手が足りない。今のところ、まだあまり知られていないが「不動産業」でも、もちろん足りていない。

令和6年6月の国土交通省の資料によると、全国1747市区町村内で宅地建物取引業者(以降、不動産業者)の店舗がひとつもない自治体が247自治体、全体の14%ある。

宅地建物取引事業者数の減少
(画像:国土交通省「不動産業による空き家対策推進プログラム~地域価値を共創する不動産業を目指して~ 」令和6年6月より)

1~5店舗しかない自治体が392自治体あり、これが22%。合計で36%。全体の3分の1ほどの自治体にほとんど不動産業者がいないことになる。これが何を意味するか、地域の将来を考えながら見ていきたい。

個人の不動産業者が減っている

一般財団法人不動産適正取引推進機構によれば令和5年度末の時点で不動産業者は10年連続で増加しており、全国で13万583社。広域で事業が行える大臣免許業者は13年連続で増加し、法人業者はこの1年間で1.4%増加している。

これらの数字だけで見れば不動産業者が足りないとは言えないが、実情を見ると二極化が進んでいることがわかる。

都市部では社員数の多い株式会社が増え、全体の数字を押し上げている。一方で規模が小さい個人業者は60歳以上が全体の約7割を占め、38都道府県で減少。この1年間で4.0%減少している。

【写真】熱海の不動産業者の取り組みを取材!街の様子や会員制の銭湯など(13枚)
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