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人権NGOの調査が指摘する「ウイグル強制労働」と日本企業の関係。ソニー、パナ、TDKなど名指しされた企業の見解は?

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記者会見で調査結果を説明する日本ウイグル協会のレテプ・アフメット会長(撮影:筆者)

在日ウイグル人が設立した「日本ウイグル協会」と国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」は5月16日に記者会見を開き、日系企業35社および日本に進出している電気自動車、太陽光パネル製造などの中国企業6社を対象とした、ウイグル人の強制労働と関連したサプライチェーン調査の結果を発表した。

日本ウイグル協会によれば、調査対象の計41社のうち、日系企業30社および中国企業4社がウイグル強制労働問題と何らかの形で関係していることが確認されたという。そのうえで、「8割以上という非常に高い割合で日本の市場とサプライチェーンが深刻な人権弾圧に加担していることを示唆するもので、対策が急務である」としている。

世界が問題視する「ウイグル強制労働」

中国の西部に位置する新疆ウイグル自治区では、人口の多くを占めるウイグル人などを、テロ対策などを理由として拘留施設に収容し、再教育の名の下に深刻な人権侵害が行われていると、人権団体の調査や国連高等弁務官事務所の報告書などによって指摘されてきた。それとともに明るみになってきたのが、ウイグル人を故郷から数千キロメートルも離れた中国の沿岸部の工場に移送し、繊維製品や電子機器、水産加工品などの製造現場で働かせている実態だった。

2020年に発表されたオーストラリアの独立系民間調査機関であるAustralian Strategic Policy Institute(ASPI)の報告書では、「2017~2019年の間に8万人以上のウイグル人が中国各地の工場に移送され、少なくとも82のグローバルブランドのサプライチェーンに属する工場で、強制労働が強く示唆される労働環境下に置かれている」と指摘されている。そこでは日本企業の社名も記されている。

さらに今年2月に発表された、国際労働機関(ILO)の報告書でも、国際労働組合総連合(ITUC)の意見書を引用する形で、新疆ウイグル自治区には2つの主要な強制労働配置システムが存在すると指摘されている。

これには(1)収容施設から釈放された被収容者を繊維や電子機器などの労働集約型産業で強制労働させるケース、(2)低所得で伝統的な生業に従事する、新疆ウイグル自治区の「余剰」の農村労働者を、太陽光パネル、蓄電池、自動車部品の原材料の加工現場などにシフトさせて働かせるケース、の2つがあるという。いずれも国家ぐるみで行われており、後者については「貧困対策」の名目で実施されているとも指摘されている。そのうえでILOはそうした実態に懸念を示し、中国政府に対してコメントを提出するように求めている。

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