死ぬまでに延々と返そうと思っていると…住宅ローン返済期間50年を喜ぶ人の"落とし穴"

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そうなると、資産インフレが終了し、値下がり局面にいつなるかが重要になる。資産インフレを予測して、的中させてきた私は、値下がりの際には筆者主宰の住まいサーフィン会員32万人にアナウンスすると約束している。これは資金の流れや金利水準や税制など多様な要因で変化し得る。

金利が上昇しているのに不動産価格は上がっている

最後に、金利と不動産価格の関係を整理しておこう。「金利が上がると、不動産価格が下がる」という一般論を私は信じていない。これはアメリカでの教科書的な「頭でっかち」な論理で、いつでもどこでも当てはまるものではない。

まず、現状を説明できていない。金利は上昇しているのに、不動産価格は現に上がっている。日本ではいまだに超低金利の中、金利が上がってもそれは分譲事業者側のコストプッシュとして、不動産価格は上がる方向にしか動いていないと私は見ている。

逆に「不動産価格が上がっているから、金利を上げている」と言ったとしても、金利がつねに不動産価格に寄与することもない。日本のバブル期には、利回り2%・金利8%でもキャピタルゲインが1年で30%以上見込めると考えると、地上げや開発や転売は止まらなかった。それを止めたのは総量規制による資金供給の停止によるものであった。

このように考えるからこそ、金利上昇局面では不動産価格の値上がり状況を確認しながら、住宅ローン選択を賢くしなければならない。思い込みをすることなく、柔軟に現実を受け止め、確率の高い将来の予見から、つねに的確な選択を考えたいものである。

沖 有人 不動産コンサルタント

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おき ゆうじん / Yujin Oki

1988年、慶應義塾大学経済学部卒業後、監査法人系・不動産系のコンサルティング会社を経て、1998年に現スタイルアクトを設立。住宅分野において、マーケティング・統計・ITの3分野を統合し、日本最大級の不動産ビッグデータを駆使した調査・コンサルティング・事業構築を得意とする。設立当初から運営する分譲マンション価格情報サイト「住まいサーフィン」の会員数は30万人以上。『マンションは10年で買い替えなさい』(朝日新書)、『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』(朝日新書)など著書多数。

 

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