今回は、頭から競馬である。
それは、かんべえ(エコノミストでこの持ち周り連載の筆者でもある吉崎達彦)氏から、私の議論は株価よりも競馬の話に価値があると指摘された(溜池通信「かんべえの不規則発言」11月2日号参照)からではない。日本の競馬産業の議論をすることが、21世紀の日本経済の指針を示すことになると考えたからだ。
「日本で成功した産業政策、特殊法人であるJRA(日本中央競馬会)により主導された競馬産業が、なぜここまで発展したかを考察することによって、今後の日本の産業発展戦略への示唆を導き出したい」、というかなり野心的な企画である。
日本の競馬産業は「3つの軸」で測っても「世界首位級」
日本の競馬は、世界の中でナンバーワンである。産業規模からしても圧倒的だ。競馬の産業規模には「3つの軸」がある。①馬券の売り上げ額、②レースの賞金総額、そして③競走馬の生産・販売額である。以下、公益財団法人のジャパン・スタッドブック・インターナショナルの調査などを引用しながらみてみよう。
まず馬券の売り上げ額は、日本が約4兆5000億円(2024年)で、主要国2位の米国が116億ドル(2023年、約1兆7000億円)で圧倒的な差をつけている。しかも、英国などと違い、馬券販売はJRAおよびNAR(地方競馬全国協会)が直接行っており、これが競馬レース施行者の収入になる。
そのため、これを背景に、2つ目のレースの賞金総額も世界で首位級となっている。2019年時点の比較ではあるが、人口約1億2000万人の日本は約9億6000万ユーロで、同3億5000万弱の米国が8億4000万ユーロ。イギリスは1億3000万ユーロにすぎない。実は、米国の次はオーストラリアで4億6000万ユーロ。同国の人口は3000万人に満たないので、人口比で考えるとオーストラリア国民が世界一競馬好きともいえるが、市場規模は日本が最も大きい。



















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